全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(5)充実した家庭学習指導

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

「教育効果の高い学校」の特徴としてまず挙げられるのは、学校が家庭学習の指導をきめ細やかに行っている点である。ここで言う「家庭学習」は宿題にとどまらない。児童生徒が主体的に取り組む「自主学習」の指導にも力を入れている。

「自学自習ノート」「自学」「自勉」など、地域によって呼称は異なるが、児童生徒が自ら学習課題を見つけてノートを作成する。この点が重要である。家庭学習の指導自体はほとんどの学校で実施されているようだが、他の学校とどこが違うのだろうか。

第一に、教職員の間で課題の出し方の共通理解が図られている。つまり、家庭学習の指導が教員個人ではなく、学校としての組織的な取り組みになっている。課題の分量や与え方、家庭学習を指導する意義について教員同士で共通の理解がある。図は、置かれた社会経済的背景(SES)から推計される学力を大きく上回った上位30校(教育効果の高い学校)と大きく下回った下位30校(教育効果の低い学校)を比較したものである。これを見ると、「家庭学習の課題の与え方について教職員で共通理解を図った」割合が教育効果の高い学校は63.3%であるのに対し、教育効果の低い学校は23.2%にすぎない。

算数の家庭学習課題の与え方について教職員で共通理解を図ったか(小6)

第二に、単に宿題や自主学習をやらせるだけでなく、毎日学校に提出するよう義務付けている。教師はそれをチェックし、コメントを書き、フィードバックしている。このような指導が児童生徒の励みになり、学習習慣の定着に結び付いている。毎日継続させ、家庭での学習習慣を定着させる点が重要である。アンケート調査でも、教育効果の高い学校は低い学校に比べ「家庭学習の課題について、評価・指導した」という回答が多い。

第三に、具体例を挙げて家庭での学習方法を教えている。「何でもいいからノート2ページ分やってきなさい」といった課題の出し方ではなく、「友達はこんなふうに勉強している」と具体例を示している。教育効果の高い学校は、学級全体で共有した自主勉強ノートを児童生徒が回覧し、保護者にも見せる。中には子供同士で自学ノートを交換し、相互に評価させる取り組みも見られた。

最後に、「誰一人取り残さない」姿勢を持っている点を挙げておく。家庭学習をやってこなかった児童生徒を置き去りにしていない。やってこない理由や事情、背景を踏まえた上で、学校の空き時間にやらせるといった徹底ぶりが見られた。