全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(6)言語活動の充実

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

「教育効果の高い学校」の特徴として二つ目に挙げられるのは言語活動の重視である。教科を問わず、「話す・聞く・書く」言語活動を充実させている。具体的には▽少人数での話し合い活動▽朝読書▽読み聞かせ▽学級文庫の充実▽司書や支援員の配置▽全教科でのコミュニケーション活動の展開――などの取り組みが行われている。

言語は全ての学力の基礎であり、言語活動の充実は学力形成を下支えすると考えられる。学習指導要領でも重視されているだけに、どの学校でも言語活動には力を入れているだろう。では教育効果の高い学校のそれは何が違うのだろうか。

第一は、学習規律が整っている点である。言語活動を円滑に成立させるためには、最低限のルールが必要だ。教室には「授業の開始1分前には着席する」「机上を整理する」「話は終わりまでしっかり聞く」「話すときは相手の方を見て話す」といったルールが掲示されている。教師の指導によって子供たちもこの規律に従っている。どれもごく当たり前のルールだが、当たり前のことを当たり前にできているのが、教育効果の高い学校の特徴だ。

第二は、表現力を高める指導に力を入れている点である。図は、教育効果の高い学校ほど、児童が自分で調べたり考えたりしたことを分かりやすく文章に書かせる指導(国語A)の頻度が高いことを示している。教育効果の高い学校では、随所に「書かせる」活動が埋め込まれている。日記、読書記録、本の紹介、新聞作り、行事報告、条件作文、生活作文、新聞のコラムの写し書き――と、とにかく書かせる機会が多い。また教科を問わず、少人数のグループ学習も積極的に取り入れており、話し合い活動を円滑に実施している。

第三は、信頼関係を構築している点である。グループ活動や話し合いは、日頃の良好な人間関係があって効果が高まる。「間違ったことを言っても笑われない」「助けが必要なときは助けを求めてもいい雰囲気がある」「分からないときは『分からない』と言ってもよいと子供たちが感じている」といった様子からうかがえる信頼関係は、子供たちを積極的に学びに向かわせる力になる。

中学校では「荒れ」を克服し、信頼関係を回復したことが学力向上に結び付く事例が多い。教育効果の高い学校は、校長が目標に「あいさつ運動」や「教師と生徒が一緒に遊ぶ」「笑顔あふれる」「楽しい学校」「学校に落ち着きやうるおいを」などを掲げ、学校全体でより良い人間関係の構築に努めている。

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