全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(7)小中連携の学びが重要

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

「教育効果の高い学校」の特徴として三つ目に挙げられるのは、小中学校の連携教育である。言うまでもなく小学校の学びは中学校へと続き、小学校の学びは中学校の学習の基盤になる。学習内容や授業方法、学習ルールが小・中を通じて体系化されていれば、小学校から中学校へ円滑に移行できる。

その意味で、小中連携は学力形成の鍵の一つである。学力は学習の「積み重ね」の結果であり、小学校低学年、あるいはそれ以前から子供たちに累積した力だ。全国学力・学習状況調査は小6と中3を対象にしているが、調査結果として表れるのは、子供たちがそのずっと前から蓄積してきた成果である。

教育効果の高い中学校で高学力の要因を聞き取り調査すると、ほぼ例外なく「小学校段階での授業の充実と学習への構え(学習意欲や学習規律)の形成」が挙がる。また小学校で「荒れ」を経験していなかったり、克服していたりすることが、中学校での落ち着きや学習態度に表れるとの声も聞かれる。

小中連携というと、小学生と中学生との交流活動のようなイベントを連想する人も多い。だが、学力形成で重要なのは「イベント」ではなく、教育改善の「プロセス」として実施される連携だ。小1からの9年間を見通した教育課程の開発など、さまざまな取り組みが継続的に行われていることがポイントになる。

取り組みには他にも、家庭学習の方法・学習ルール・授業スタイルの統一、言語指導の重点の共有、中学校区での定期的な研究活動(小中連携研究)、小学校と中学校の教員の学び合い(小・中で相互に授業参観)――がある。これらのうち、「授業スタイルの統一」を詳しく見てみよう。

教育効果の高い小学校では、授業の冒頭に目標(めあて・ねらい)を児童に示す活動や、授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に取り入れている。また「適切にノートを取る」などの学習方法に関する指導も見られる。特によく実践されているのは「授業の最後に学習を振り返る活動の計画的な取り入れ」である。

「算数A」に関する調査結果()から、教育効果の高い小学校は「振り返る」授業スタイルが定着していることが分かる。このような授業スタイルが中学校でも一貫してとられていると、子供に安心感を与え、中学進学に伴うギャップを最小限にすることにもつながる。それは、生徒の学力形成にもプラスの影響を与えていると考えられる。