クオリティ・スクールを目指す(142)ものの見方・考え方の視点

教育創造研究センター所長 髙階玲治

子供の成長を支える基本

新学習指導要領は各教科固有の「見方・考え方」を重視し、さまざまに説明している。子供の思考力や判断力、表現力を育てるとき、どの教科でも同じではなく、それぞれ固有のアプローチの仕方が必要である。その意味で教科固有の「見方・考え方」を育てることによって、その教科の学びを深く体得できるようになる。その「見方・考え方」は、教科の学習のみでなく、生活や多様な場面でも必要とされる。人間が社会的に成長する上で必要とされる基盤的なものである。

「見方・考え方」をどう考え、どう身に付けるかという視点で北俊夫前国士舘大学教授が書いている(『「ものの見方・考え方」とは何か』文溪堂2018)。

北教授は、基本として「ものの見方・考え方」を四つの視点で重視している。①対象を捉える術すべ(ものの見方・考え方)②子供を育てる術(子供に身に付けさせたい学び方)③教師の授業力を鍛える術(教師が習得したい教え方)④社会を主体的に生きる術(人としての生き方)――である。

「術」を学び、身に付けることが基本とされているが、「術」の獲得にはそれなりの努力や習練が必要である。その「術」をどう獲得し、身に付けるか。四つの視点はかなり多様で、広がりを持つが、北教授はそれを「ものの見方・考え方」に収斂(しゅうれん)して、「対象への目のつけ方」18のポイントと「処理・操作の仕方」17のポイントに分けて説明している。それぞれのポイントが興味深い。何よりも重要なのは、学ぶ対象や課題がどのような性質かを見抜くことである。「対象への目のつけ方」について、例えば「地理的な目で捉える」「歴史的な目で捉える」「不易と流行の二つの視点で」がある。北教授は社会科教育が専門である。また、「概観(俯瞰(ふかん))する―トンビの目で」「微視的に―アリの目で」「多面的・多角的に―トンボの目で」がある。

対象のおおよそが把握できれば、次は追究の仕方である。「処理・操作の仕方」には次のポイントがある。「観点を設けて比較する」「事象を関連付ける」「時間の経過で記録する」「原因、根拠、理由と結びつける」など課題解決の手法が示されている。また、「KJ法で情報を整理する」「公平・公正に」「ベストが無いときはベターを」「具体を一般化、概念化する(帰納的手法)」「概念を具体化する(演繹(えんえき)的手法)」「応用・転移する」などの術が示されている。

この図書は副題にみられるように「授業力向上の処方箋(せん)」として書かれたもので、効果的なアドバイスが充満している。ただその基本は「生きるための見方・考え方」でもあって保護者にも読んでほしい図書である。私も本屋で一般図書に並んで平積みになっていた中から見いだしたものである。