全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(10)保護者や地域との連携

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

最後に挙げる「教育効果の高い学校」の特徴は、学校と保護者(家庭)、地域との連携である。具体的には次の3点を指摘しておきたい。

第一に、学力調査の結果を保護者や地域に公表・説明し、調査結果を踏まえた学力向上の取り組みを保護者らに働き掛けている。図を見ると、教育効果の高い学校は、全ての学校が保護者らへの働き掛けをしているのに対して、効果の低い学校は3分の1以上が「あまり行っていない」と回答している。

第二に、地域リソースを積極的に活用している。小学校では「保護者からの意見や要望を聞くために、学校として懇談会の開催やアンケート調査を多く実施」「ボランティアなどによる授業サポート(補助)」「博物館や科学館、図書館を利用した授業」などの取り組みがある。中学校では「地域の人材を外部講師として招聘(しょうへい)した授業」などが多く実施されている。

地域リソースの活用はさまざまな形で展開されている。具体的には「個別の学習支援や読み聞かせ」「図書ボランティア」「地域の産業や伝統芸能を生かした教育活動」「地域人材の専門性を生かした教科指導支援」「学校行事などへの地域住民の参加」「地域の事業所と連携した職場体験活動」などが挙げられる。近隣の大学生が放課後や長期休業中に学習指導をする例もある。

第三は、学校が地域に貢献している点だ。学校が地域リソースを活用する一方的な関係ではなく、子供たちが「地域の環境美化や清掃活動をする」「廃品回収やお祭りなどの地域行事を手伝う」「地域の一員として防災活動に取り組む」など、地域のために貢献する経験を意図的に持たせている。子供たちは地域とつながり、人々に受容されているという感覚を得る。地域の人たちから見守られ、ほめられ、励まされる体験を通して、自己有用感と効力感も育んでいる。これらが学習意欲にもつながっているのは言うまでもないだろう。

この連載も今回で終了である。連載では「伸びる学校の条件」について考えてきた。最後に強調しておきたいのは、行政のサポートの重要性である。教育効果の高い学校では、あらゆる面で行政からのサポートが手厚く、教育委員会と学校の関係も良好だった。さまざまな取り組みがかえって教員の多忙化を招くことになってはいけない。教員の働き方改革の観点からも、行政は学校に必要な支援をすべきであると強調して筆を置きたい。

(おわり)