古くて新しいPTA問題 これからの保護者と教師の関係(10) 新たな仕組みが必要

ジャーナリスト 大塚 玲子

前回、現在のような強制的な加入や活動を伴うPTAはやめて、学校自身が必要なお手伝いを募るシステムを作った方が、教師も保護者も無駄がなくなると提案した。学校はPTA会費に頼れなくなる分を公費で補うなど、予算の問題をクリアする必要があるが、その点さえ乗り越えられれば、断然この方がいい。

ただし、この案には一部の保護者から物言いが付くだろう。「PTAがないと保護者の意見を学校に届ける場がなくなってしまう」と。だが、実際に保護者の意見を学校に届けているPTAは現状ほぼない。この連載の中でも述べたように、校長はPTAが学校に意見するのを嫌っているし、そもそも強制加入がいまだ大半を占める団体が「保護者の意見を届ける」など、茶番に思える。

もし本当に必要なら、そういう仕組みや組織を新たにつくればいい。学校を手伝うシステムとは別に、保護者の意思を尊重し、学校に意見を届ける団体をつくる。当然、加入も活動も任意だ。あくまでもPTAで、というのならそれでもいいが、できるならもうやっているはずだ。今のPTAは「T」が入っていることもあって校長の権限が事実上大きく、従来のやり方を変えようとすると校長に止められがちだ。

ただし、校長自身に保護者の意見を取り入れる意思があれば別だ。校長自らが保護者の声を聞く場として、PTAを活用している例もまれにある。例えば、神戸市立本多聞中学校。同校元校長の福本靖氏(現・神戸市立桃山台中学校長)は、PTAの運営委員会を誰でも参加できるようにし、保護者と学校が意見を出し合える場にした。「男子の部活動を新設する際は何部をつくるか」「生徒が冬に着用するセーターを変えることについてどう思うか」など、関心ある保護者と話し合える場を持つことでトラブルが減ったという。

こうした場は保護者にも学校にも有益だ。今の学校は、一部の声の大きな保護者の意見ばかりを聞き、沈黙する大半の保護者の意見を拾わないことが多い。そのために起きるトラブルを考えれば、多様な保護者の意見を可視化する場は必要と感じる。意思ある校長と連携してPTAを活用するか、そうでなければ別の意見交換の場を保護者が提案してもいい。

意見を届ける話に限らず、社会教育関係団体として「保護者が学べる場がほしい」と思うなら、それをつくってもいい。今のPTAの形にこだわらず、必要に応じて一から仕組みをつくった方が早いし、使い勝手もずっとよくなるのではないか。

(おわり)

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