「司法面接」子供から正確な証言を引き出す技術(5)自由報告を求める

立命館大学教授 仲 真紀子

第2回で挙げた「給食の鍋が落ちた」ケースを再考してみよう。

シチュエーションは次の通り。児童が騒いでいるので急いで駆け付けたら、給食の鍋が床に落ちていて、A子が横で泣いていた。数人の児童が雑巾で床を拭いたり雑巾を絞ったりしている。

教師: あらら、誰がお鍋、落としたの。

(他の児童たちがA子を見ている)

教師: A子さんが落としたの。

(A子は泣いている)

教師: 重かったのかな。手が滑ったの。

A子: (涙を拭きながら)鍋が…。

教師: 重くて落としちゃったのかな。

A子: うん(と誘導されてしまう)。

教師: 重くて手が滑って落としたのね。A子さんが悪いわけじゃないよ。大変だったね。みんなも後始末、ご苦労さまでした。

この会話では、教師がストーリーを作ってしまっている。オープン質問にするとどうだろうか。

教師: あらら、何があったの。

(他の児童たちがA子を見ている)

教師: どうしたのかな。

(A子は泣いている)

教師: じゃあ、まず片付けちゃおうか。

(他の児童が雑巾でほとんど拭いていた)

A子: (涙を拭きながら)鍋が…。

教師: うん、鍋が。

A子: ぽきって。

教師: うん、ぽきって。それで、どうしたの。

A子: 持つ所が取れちゃった。

教師: そうか、持つ所が取れちゃった。それで。

A子: で、鍋が落ちた。

司法面接におけるレイアウト例

このように、子供から自由報告を得る努力をしたい。

さらに情報を得る必要があれば、時間分割質問の「持つ所が取れる前に、何があったの」や、手掛かり質問の「持つ所が取れちゃったときのことを、もっと詳しく教えて」と尋ねる。その結果、教師は「危ない鍋だ」と判断し、給食室にある全ての鍋の点検を要請するかもしれない。

事案によらず、面接者の口から「問題となる行為」(落とした)や、行為者の名前(A子)を出すことは極力避けねばならない。「何があったの」が基本的な良いオープン質問である。