「司法面接」子供から正確な証言を引き出す技術(6)自由報告のための環境

立命館大学教授 仲 真紀子

「今、ここ」で起きた事件であれば、「何があった?」というオープン質問だけで十分な情報が得られるかもしれない。

だが、より多くの情報を得なければならないこともある。「友達から無視されたというB子」「カンニングが疑われるC夫」「校内での交通事故を目撃したというD太」から話を聞く場合もあるだろう。

このようなとき、被面接者を呼び出して、いきなり「何があったか全部話してください」と言っても、自発的な報告をすぐには得られにくい。司法面接では被面接者から最大限の自由報告を得るために環境を整備し、面接を構造化している。

具体的に説明しよう。まず環境について、面接する場所は子供の目に付かない面談室などが望ましい。目立つ所だと「○○さんが面談に呼び出された。何を話しているんだろう」とうわさになるかもしれない。温かい雰囲気で静かな、子供の注意を阻害するもの(例えば、箱庭療法のフィギュアなど)がない部屋がよい。そういった事物があると、被面接者は話に集中できないことがあるからだ。

モニター室で子供の証言をチェック

本来の司法面接では、面接室と隣接したモニター室の2部屋を用意する。面接室では面接者と被面接者が一対一で面接をし、その様子を録音録画している。録音録画はモニター室に送られ、モニター室ではバックスタッフと呼ばれる人たちが面接をモニターし支援する。例えば、児童相談所の職員が面接者となり、警察官や検事はモニター役を務め、得られた情報や足りない情報をチェックする。このように、関係機関が連携して面接をすることを協同面接という。子供は各機関で繰り返し面接を受けずに済むため、精神的負担が軽減されるメリットがある。

録音録画ができない場合は筆記役を置く必要がある。面接は一対一でするが、筆記役も同席し、やり取りを逐一記録する。ただ、後のことを考えると、会話は録音しておいた方がよい。面接者と子供はハの字型に座り、面接者の少し後ろに筆記役が控える。筆記役が面接に口を出すことはない。

面接者と筆記役は、面接法に通じた利害関係のない人(学校であればスクールカウンセラー、養護教諭など)が望ましい。担任や教頭、校長は子供の評価に関わる人たちであり、面接者には適さない。悪く思われたくないとの気持ちから、子供が事実を報告できない恐れがあるためである。