「司法面接」子供から正確な証言を引き出す技術(10)適切な対応につなげる

立命館大学教授 仲 真紀子

ここまで被害者や目撃者を想定した手続きについて述べてきたが、加害(いじめなど)や違反(カンニングなど)の疑いがある子供(被疑少年)への面接では、さらなる配慮が必要である。

疑われているというだけで、被疑少年は弱い立場にある。圧力をかけて誤った報告(虚偽自白)を引き出してしまえば人権侵害にもなる。被害者を想定した面接に加え、次のような準備や教示が重要である。

①中立な第三者や保護者を立ち会わせる(立会人は代弁者ではない。対立を生み出さないよう気を付け、コミュニケーションを支援する)

②話したくないことは話さなくてもよい、立会人と相談したければしてもよい、休憩を取りたくなったり面接を終えたくなったりしたらそうしてもよい、という被面接者の権利を述べる

③面接時間は長くても1時間程度で休憩を挟むことを説明する

④自白、謝罪、反省を強要しないよう気を付ける――の4点である。

特に、④は重要である。被害者、目撃者、被疑者によらず、面接の目的は情報収集である。被疑少年の証言が事実か、間違いか、虚偽かといった判断は外の客観的情報と照合して行う。例えば、子供が述べたことと合致する人物、場所、事物が実際に存在するか、物的な証拠があるか、目撃者がいるかなどの確認が重要である。

他機関と連携した司法面接

最後に、いじめなどの疑いで重大事態調査委員会を立ち上げ、調査を行う際の留意点も述べたい。

①委員は当該の学校や教育委員会から独立した立場にある心理学者、教育学者、臨床心理士、小児精神科医、弁護士などとする

②委員会が設置されたら問題となる出来事を精査し、調査すべき対象を特定する(申立人に確認を求め、他に調査を希望する項目があれば追加する)

③調査面接の対象者(被面接者: 申立人その他の子供、教員など)を特定する。彼らに対して司法面接にのっとった方法で面接をする(面接は任意で、被面接者は協力を拒むこともできる)

④得られた情報や外部情報との整合性を検討して事実認定を行う

⑤申し立てられている事項について因果関係などを判断する――である。

調査の目的は「重大事態があったかどうか」の判断ではない。申し立てがあった時点で「重大事態」なのである。和解、謝罪、罰則の提案でもない。調査が目指すべきは、重大事態とされた出来事の内容やプロセスを明らかにし、適切な対応や予防対策を示すことだと筆者は考える。こうした調査に、本稿が役に立てば幸いである。

(おわり)

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