「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(1)学級雰囲気とは何か

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

近年、学校現場では、子供たちの多様性(ダイバーシティー)の推進が叫ばれている。特に発達障害のある子供は、小中学校で100人中6~7人の割合で存在するという調査報告もあり、誰にでも分かる授業や、一人一人のニーズを踏まえた授業に期待が寄せられている。

この連載では「学級雰囲気」やその周辺課題をテーマにした研究成果を参考に、発達障害のある子供が過ごしやすい教室の在り方を考えていきたい。

広義の「雰囲気」について広辞苑を引いてみると「その場面またはそこにいる人たちの間にある一般的な気分・空気」とある。「学級雰囲気」は文字通り学級における雰囲気を指し、「学級構成員である児童と担任の教員とのやり取りの中で醸成される気分や空気・調子・ムード」と定義されている。

なぜ、今「学級雰囲気」に注目するのかというと、学級雰囲気が発達障害のある子供の学級での過ごしやすさに大きく影響することが分かり始めているからである。

親和的とされる学級は学級経営が良好で秩序が保たれており、周りの友人との助け合いが頻繁に行われるような雰囲気が醸成されている。雰囲気が良い学級は、発達障害のある子供だけではなく、誰にとっても過ごしやすい環境であることは言うまでもない。

だが、とても活発で楽しそうな学級の隣で、同じ学校の同じ学年にもかかわらず、今にも崩壊してしまいそうな学級がある光景をしばしば見掛ける。担任とクラスメートの違いが与える影響がかなり大きいことが分かる。

特に日本の学級集団は、授業を一緒に受ける学習集団としての機能だけでなく、学校生活や行事を共に過ごす共同体の面も基盤にある。それだけに学級雰囲気は、発達障害のある子供の学級適応に直結するものと言える。

学級雰囲気は、人によって強く感じたり、あまり感じなかったりする。また担任よりも子供の方が、学級での居心地の良さや起こっている違和感に対して敏感だという。そのため、学級内で起こっている危機を担任や学校、教育委員会が把握するのは、すでに何かしらの問題が起きた後である場合が多い。

つまり学級崩壊やいじめの早期発見・予防には、学級雰囲気を数値として客観的に把握できるようにすることが有効な手だてになる。

(岡部帆南、柘植雅義)


【プロフィール】

柘植雅義(つげ・まさよし)博士(教育学)。筑波大学附属大塚特別支援学校校長(兼務)。特別支援教育、発達障害、知的障害、障害児心理学が専門。著書に『特別支援教育―多様なニーズへの挑戦』(中公新書)、『小中学生のための障害用語集―みんなに優しい学校と社会を願って』(金剛出版)、『発達障害事典』(丸善出版)など。