「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(2)社会的障壁の除去

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

知的障害のない発達障害は、長年続いた特殊教育の時代から特別支援教育に転換する過程で、新たに対象に加わった障害である。転換への助走が始まった2001年には、発達障害の理解や対応の重要性が示された。

やがて発達障害のある子供の出現率が全国規模で公表され、04年に発達障害者支援法が成立した。同法では自閉症(ASD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などを、発達障害の一種として挙げている。発達障害は従来の障害と共に学校教育法に明記されるようになり、今日に至っている。

知的障害のない発達障害の子供は、主に通常学級で学ぶ。ASD、ADHD、LDなどの特性から、さまざまな苦戦を強いられると予想されるために、教師、学校、行政は、子供の学習上・生活上の悩みや課題を軽減・除去する努力が求められる。必要に応じて、通級による指導を受けたり、特別支援学級を利用したりするケースがあるかもしれない。

また子供によっては、発達障害がある一方で知的能力が高く、さまざまな才能を併せ持つ場合(2E)がある。言語、数学、理科、体育、芸術などの分野における、特別で際立った才能である。こうした子供たちであっても、学校生活の中ではいろいろと苦戦していることが分かっている。

小中学校の通常学級では、発達障害のある児童生徒が6~7%の割合で在籍する可能性を示した報告も公表されている。40人学級なら教室に3人、30人学級なら2人、20人学級なら1~2人ほどいると考えられる。

現在、日本の学校では多様な子供が学んでいる。障害のある子供ばかりでなく、外国籍、日本語困難、貧困、LGBTなど多岐にわたる。そのような子供たちは、状況によっては、通常学級でさまざまな困りごとを抱えていると予想される。そうした困りごとが、いじめや不登校など、より深刻な事態に発展する恐れもある。

こうした観点から、発達障害のある子供のみならず、全ての子供にとって過ごしやすい教室にしていくことはとても大切である。障害者差別解消法では、「障害を理由とする差別の禁止」と「合理的配慮」を求めており、「社会的障壁の除去」を進めるよう促している。過ごしにくい教室は、発達障害のある子供にとって社会的障壁なのである。

(柘植雅義)