「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(4)学級雰囲気は何に影響されるか

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

知的障害のない発達障害の子供は、主に通常学級で学ぶ。担任教師は発達障害のある子供への指導の工夫はもちろん、周りにいるクラスメートの心を育てることも重要になってくる。

例えば、クラスの雰囲気が良好でないと、ある子供に対して教師が配慮をした際に「あの子だけずるい」と声が上がったり、逆に「あの子は特別な子」というレッテルを貼ってしまったりすることにもつながる。

また、発達障害のある子供本人や保護者の意向を無視して障害名をクラスメートに告げ、「あの子は〇〇(障害名)だからこのような配慮をしています。みんな協力してあげてね」などと伝えるような指導は絶対にしてはならない。

「障害があるから仕方ない」「障害があるから△△してあげてね」はどちらも間違った対応である。周囲の子供たちに、障害のあるクラスメートに対する適切な理解を促そうとしても、それは言葉だけで伝えられるほど簡単ではない。

では「周囲の子供が発達障害のある子を適切に理解しているクラス」の雰囲気はどのような状態なのだろうか。

ある地域の小学生1300人程度を対象に実施したアンケート調査から、発達障害のある子供が過ごしやすい親和的なクラスの特徴が見えてきた。

共通する特徴として「チャイムが鳴るとすぐ教室に戻る」「教師の話や友達の発表を静かに聞く」といった、秩序が保たれた学級や、落ち着いた環境で行われている授業の様子があった。

さらには苦手なことがあったり、うまく行動できなかったりする友達に関心を寄せ、日常的に自分から手を差し伸べ、担任教師のさりげない支援や言葉掛けをまねる子供たちの姿もみられた。調査では、クラスの秩序が保たれていると、他者を尊重する雰囲気が生まれやすくなることが分かった。

つまり「学級雰囲気は何に影響されるか」の答えは「学級経営」と「クラスメートの協力」である。担任教師がまず行うべきは、誰もが安心して授業を受けられるよう、授業中のルールやマナーを示し、クラスの秩序を整えることである。

その上で、担任と子供たちが協力して、うまく学べない・行動できない子をみんなで支えていくことが大切なのである。

(岡部帆南、柘植雅義)