「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(6)支え合う雰囲気づくり

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

学級雰囲気は「学級経営」と「クラスメートの協力」の影響を受けることが分かっている。それを踏まえた適切なアプローチができれば、学級雰囲気は変えられる。ここで重要なのは、学級雰囲気が良好ではないクラスの場合、まずクラスの秩序を整えるアプローチから始める必要があるということだ。クラスの秩序が乱れた状態では、子供たちに発達障害のある子や多様性への理解を促すのは不可能だからだ。

クラスの秩序がある程度整えば、次はクラスメートを育てるアプローチに取りかかる。例えば、困っている友人に関心がないクラスや、手を貸してくれる子供がいつも同じというクラスだと、発達障害のあるクラスメートにどう関わればよいのかが分からず、行動に移せない子供たちが多くいるケースも考えられる。

「困っている人を見つけたら助けよう」「優しくしよう」と感情に訴え掛けるだけではなく、具体的な援助方法を示したり、担任が日々、さりげない支援や言葉掛けをする姿を見せたりするのが大切になる。その場合、発達障害のある子供だけへの特別な支援ではなく、苦手にする全ての子にも役立つ働き掛けが良いだろう。

手を貸してくれる子供がいつも同じというクラスでは、座席や班編成に変化を加えるのも効果的だ。いつも特定の誰かが頑張るよりも、困っているクラスメートの近くに居合わせた人がそっと手を差し伸べられる方が理想的である。もちろん、誰かを助けるばかりでなく、自分が助けてもらう側になるときもある。日頃からクラスのみんなで助け合い、支え合う雰囲気を醸成することが重要になる。

発達障害のある子供を含むクラスでの授業の組み立て方に悩みを抱える教師は多い。その解決には、「授業コンサルテーション」というシステムの活用が糸口になるかもしれない。担任教師の学級経営や一斉指導のスキルと、特別支援教育に詳しい教師が持つ発達障害の子供への指導や支援の知識を融合させ、一緒に問題解決に向かうことが重要である。

ただ、秩序が乱れて雰囲気が良好でないクラスの場合、残念ながら担任教師と子供たちの関係も良くないケースがほとんどである。担任教師や学級への不信感が強いと、担任教師の指導だけで解決するのは難しい。学校全体で対応する必要がある。

子供だけではなく担任教師も、困ったときには困っていると発信できる雰囲気を育むことが、結果的に発達障害のある子供が過ごしやすい環境づくりにつながる。

(岡部帆南、柘植雅義)