「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(7)子供たちの関心に応える

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

世界的な流れを受け、日本でも共生社会を実現しようという動きがある。共生社会とは誰もが互いを尊重して支え合い、人々の多様な在り方を認め合える社会をいう。大人の世界のみならず、子供たちが一日の多くの時間を過ごす学校でも、共生社会をつくる必要はある。

その理念においては「障害を理解すること」に重きが置かれているが、理解へのステップとして、相手に関心を持つことも重要だ。

発達障害のあるクラスメートへの関心とはどのようなものだろうか。例えば、ある学級でイヤーマフをしている児童がいるとしよう。このイヤーマフは、自閉症スペクトラムの特性の一つである聴覚の過敏性を和らげるのに有効とされている。

イヤーマフをした児童を初めて見た他の児童は、「どうしてヘッドホンをしているのだろう」「音楽を聴いているの?」といった疑問を持つと予想される。こうした疑問は相手に関心があるからこそ生まれるものだ。

このような関心に応える教育がなければ、疑問が解決されないまま残ったり、聞いてはいけないのかもしれないと思ったりして、誤解や偏見につながる可能性がある。学校や教師は、子供の気付きや疑問、つまり関心を丁寧に把握し、障害のある子供本人や保護者の同意を得た上で適切に説明する必要がある。

障害や、障害をなくすための配慮を「理解しましょう」と一方的に伝えるのではなく、周りの児童生徒の「どうして」「知りたい」という関心に基づく説明をして、理解を促していくことが重要である。

相手に対する理解や尊重は、その人への関心から深まっていくのではないだろうか。一方で関心を持つには、異なる他者を尊重する雰囲気や、分からないことを分からないと言える雰囲気が学級内にあることが前提になる。

ここで提案する関心に基づいた教育も、学級に違いを認め相手を尊重する雰囲気があるときには有効だと言える。

学級や学校を一つの共生社会にするには、学級雰囲気を整えた上で、障害のある子供の周囲にいる子供たちの関心に基づく理解や啓発を進めることが鍵になる。

(長嶋里恵、柘植雅義)