働き方改革を巡る視座『教育学者としての問い』(8)業務をどうダイエットするか

学校の働き方を考える教育学者の会

この対策は健康的なダイエットなのだろうか――。それが、文科省が出した通知「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底」(2018年2月9日付)を読んだ第一印象だ。昨年の春まで小学校の教員をしていた私なりの解釈で、今回の働き方改革を考えてみたい。

学校教育はサービス業だといわれる。「お客さま(子供と保護者)のニーズに合わせたサービスを施す」という考え方に私は真っ向から反論している。だが、その意に反して、学校教育は学校以外が担うべき仕事まで包括して行わなければならなくなっている。気が付けば、多くの無駄なぜい肉が付いていた。

通知の中では大きく三つのダイエット方法が示されている。まず「業務改善」。体重が増えた原因を思いつくままに挙げる。▽さまざまな年間計画の作成▽「外国語活動」や「道徳」の記述による評価▽各種アンケート調査▽集金・支払いの会計業務▽就学時検診▽地域からの苦情対応、近隣トラブルの解決――ときりがない。

文科省は解決策として、校務支援システムの導入、調査依頼の精査、事務職員への権限委譲や業務の外部委託、スクールロイヤーの活用を挙げている。これらの実施には、準備や打ち合わせ、研修、予算が必要になる。自治体が優れた支援者(コーチ)となり、人材確保や制度の見直しをしてほしいと切に願う。

次に、「勤務時間の管理徹底」がある。タイムカードが導入された地域の話によると、残業が多い学校には指導室から管理職にまさしく「ご指導」が入るそうだ。「体重を測れ」と言われたけれど、減量できていないために片足を載せずに測る、というようなことが今後起こるのではないか。そもそも体重を測る目的は現実を知るためだ。

最後は「教員の意識改革」である。私たち教員はこれまで「児童生徒のため」というお題目で「ビルド&ビルド」を繰り返してきた。教員が新たに出す提案に「児童生徒のため」にならないものはないと言ってもいい。一つ増やしたらその分一つ減らすという文化がないため、学校の教育活動は膨れ上がった。

ダイエットの目的は、教員が手持ちの仕事を減らして本質的な教育活動に時間を充てるためである。教員は「児童生徒のため」に働くことを生きがいにしている。一人一人が教育目標に立ち返り、活発な議論を交わし、真に効果のある教育活動を見つけ出す必要がある。

熱のある議論で代謝を上げ、必要な活動を見極めることでぜい肉をそぎ落とせば、持続的に太りにくい体質がつくれると考えるが、いかがだろうか。

(鶴田麻也美)


【プロフィール】

つるた・まやみ 昭和女子大学専任講師。東京都の小学校教員を27年間務めたのち現職。著書に『小学校 キャリア教育と授業プログラム-自分らしさを発見する授業』(共著、日本標準)