「学級雰囲気」発達障害児が過ごしやすい教室(10)誰もが過ごしやすい教室へ

筑波大学教授 柘植 雅義 監修

これまで、発達障害のある子供が過ごしやすい「学級雰囲気」について解説してきた。

小・中学校の通常学級で、発達障害のある子供が6~7%の割合で存在する可能性が示されている中、適切で効果のある指導・支援が急務になっている。適切な指導・支援がなければ学習でつまずき、人間関係がうまくいかず、場合によってはいじめに遭ったり、不登校になったりするかもしれない。その際、本人への個別的な配慮とともに、周りの子供や環境への配慮も欠かせない。

毎日長い時間を過ごす学級が、発達障害のある子供にとって過ごしやすいか否かは重要なポイントだ。発達障害のある子供が過ごしやすい学級は、全ての子供にとっても過ごしやすい学級だからである。学級雰囲気はさまざまな事柄に影響を受けて醸成されていく。中でも、「学級経営」と「クラスメートの協力」の比重は大きい。大切なのはルールとマナーが一定の水準で整っていることで、共に学び、生活する他の子供の理解や協力が鍵となる。

学級の雰囲気は、とても過ごしやすい学級から、過ごしにくいと思われる学級まで実にさまざまで、いくつかのタイプに分ける試みもなされてきた。その上で、過ごしやすい学級づくりに向けた配慮やアプローチ法があることが分かってきている。

つまり、学級雰囲気はさまざまな工夫や努力で変えていくことができるのである。現時点での学級雰囲気、前任者から引き継いだ学級(の雰囲気)を、より良いものに変えていこうとする決意や行動が教師には求められている。

障害のある子供に対する他の子供の関心の様相や理解の状況、授業改善に向けた授業コンサルテーションの進め方など、具体的な研究・取り組みも進み始めている。このような知見も大いに活用してほしい。発達障害のある子供、そして共に学ぶ全ての子供に、豊かで確かな学習と生活を保障するために、指導法や支援方策、教材教具の工夫だけでなく、学級雰囲気を含めた学級づくりや運営についても、関心を持って見つめていく必要があるだろう。

新年度がスタートした学校では、新しい学級づくりが進んでいる頃と思われる。発達障害のある子供を含め、全ての子供が過ごしやすい学級になるために、この連載が少しでも役立てば幸いである。

(柘植雅義)
(おわり)