令和時代の扉を拓く(2) 文系と理系は融合できるか

教育創造研究センター所長 髙階 玲治

昨年度、大学医学部入試で男女差別が発覚した。女性の合格点が高くても不合格にしたり、男性の成績をかさ上げしたり、ひどい女性差別を行っていた。最近の風潮では性別による差別を極力少なくして、さまざまな分野における女性の積極的な進出を期待する声がある。もともとわが国は男女差が大きいとされてきたからである。

その背景に文系と理系の違いがあるのではないか。ジェンダー(社会的に見た男女の性差別)からみても、その実態は大きい。

科学史家の隠岐さや香・名古屋大学大学院経済学研究科教授の著書『文系と理系はなぜ分かれたのか』(講談社、2018)を読むと、学問が分類される世界的な歴史過程が詳しく、よく分かる。興味深いことに、厳然と文系と理系に分かれるのは日本のみだという。

そのためか、一般的な話題に「彼のタイプは文系です」とか、「彼女が理系志望とは驚きだ」というのを聞くことがあった。無意識的にも文系と理系と二者択一で生徒の進路を決めがちな傾向があった。隠岐教授によれば、特に日本は進路選択に男女差が大きいという。実際、OECDの調査によれば、工学部卒業生に占める女性は1割前後(2014)で、OECD諸国の平均は26%に達している。理学部のOECDの平均は4割だが日本は25%、最下層であるという。

しかし、男女差はもともとないのであって、国際的に科学技術人材育成におけるジェンダー格差を減らす動きについて、隠岐教授はその傾向を次のように述べている。

①性差別は人権の問題であり、全ての人に適性に応じた進路・職業選択の自由が保障されるべく政府は努めねばならない。

②少子化・理系離れ(先進国に共通)による将来的な科学・技術者不足に対処するため。

③多様性の研究の一環として、研究に多様な人が参加することで科学・技術の研究を豊かなものにし新しい発見を増やしてくれる。

将来的には、文系と理系の融合が多様に進化する可能性は大きいであろう。最近、STEM(Science Technology Engineering Mathematics)に人文科学(Arts)を加えた文理融合のSTEAMが言われている。

隠岐教授は、文系・理系のような「二つの文化」があること自体が問題ではなく、両者の対話の乏しさが問題なのだ、と。小・中学校の教育はどうであろうか。「女の子は理数科に向いていない」などと心の中で思っていないだろうか。それは隠れた影響を子供に与えかねないのである。

将来的には、学問は多様な形で分化・融合しながら進化するであろう。まさに多様化の時代に新たな価値を見いだすことであって、必要なのは変動に対応できる柔軟な知的能力の獲得なのではないか。文系と理系は融合することで新たな力を発揮できると考えたい。