【校長としての心構え(10)】「見える化」する大切さ その2

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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教育実践と教育目標の関連を視覚的に

表から図解へ

前回の「見える化」は、表化する意味を説明した。今回はその2として図解化した例を紹介する。

経営計画を表化して分かりやすくしたが、経営計画はいわば目標である。その目標が日々の実践とどのように結び付いているのかが実感されないと、経営計画や教育方針が画餅となってしまう。経営計画や教育方針が教員たちの日々の実践の中で自覚されて、結果として目標や方針が具現化されるのである。

日々の実践が西高の教育目標の一つである「文武二道」とどのようにかかわっているかを示したのが左図である。

「文武二道」をどのように日々の実践と結び付けるか
「文武二道」の図解化

図にあるように、「文武二道」は西高の大きな教育目標の一つである。生徒たちを「大きな器」の大人へと育て上げる方法論を示している。そして、「文」は「学び」と「教養」であり、「武」は「行事や部活動」と「挑戦」を示している。一番左に書かれている、それぞれの事例が西高を特徴付ける日々の具体的な教育活動といえる。

例えば、教員が校内研修などで授業の改善について研修するのは、「文」の中の「真剣な授業」を形成する一つであり、生徒の高い授業満足度(85%)を維持するための行為である。文武二道の実践の一つとなる。

歴代校長はこの文武二道の実践を深めてきてくれた。二代前の校長はキャリア教育を通して「文」の「豊かな教養」の部分を充実させ、一代前の校長は部活動推進指定校の指定を受けて、「武」の「活発な行事・部活動」を活性化させている。

実は、私が校長になったとき、この図解化をしてみて、「武」の「特別活動への挑戦」の教育実践が弱いと思った。言い換えると運動部に比べて文化部が弱かったのである。そこで、生物部や化学部を中心に、国際科学オリンピックに挑戦する生徒たちを育ててもらった。現在は国際科学オリンピックのメダルの常連校になった。

また、生徒たちの視野を広げるために、海外交流事業を望んでいた。たまたま募集のあったイオン1%クラブのインドネシア交換留学事業に応募し、無償での海外交流事業がスタートした。

このように図解化することで、それぞれの取り組みの過不足やバランス状態が分かるだけでなく、日常の教育実践が学校の教育目標とどのように関連するかを視覚的・自覚的に捉えてもらえるようになった。

新たな取り組みが必要であるかの判断も、全体像の中で決定できるようになった。

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