セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(1) 自分自身をマネジメントする時代

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

「21世紀に最も重要なマネジメント力は『自分をマネジメントする』力」と伝えると、意外だという反応をされる。マネジメントとは、自分以外の「人」「モノ」「金」「情報」をコントロールするもの、というイメージがあるからかもしれない。

自らを「社会生態学者」と称した経営学者ピーター・ドラッカーは、21世紀社会の最大の変化を「産業資本から知識資本の時代への変化」と言い、著書にこう記している。

「今日では、知識だけが意味ある資源である。もちろん伝統的な生産要素、すなわち土地(天然資源)、労働、資本がなくなったわけではない。だが、それらは二義的な要素となった。それらの生産要素は、知識さえあれば入手可能である」(『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社)

人を感動させる魅力的な知識資本(実践的知識、発想、アイデア)を持つ人たちには、結果的に財務資本も産業資本も集まる。情報技術の進化で個々人の発信やつながりが容易になり、ますますその流れが加速している。

知識資本とは▽外から自身の内面に吸収した良質な「知」▽自身が実現を強く願う「目的、意図」▽元々自身に備わっている「強み、資質」▽情熱の根源にある「価値観」――などを指す。

これらは外から見えにくいため、自身が自分の資源に気付き、生かす努力が必要になる。例えば、「デザイン的な感性」をスマートフォンやIT機器に昇華させた経営者、「日々花に囲まれて人が癒やされる暮らし」を願い、新しいフラワービジネスを大成功させた起業家、「人と動物がもっと近くで接する空間」を求めて行動展示という新しい価値を示した動物園の職員。彼らはいずれも、自分の内側にある独自の知識資本に気付き、それを生かした人たちだ。

私は社会人のみならず、大学生、高校生に向けたビジネスリーダー教育にも携わっている。外から借りてきた表層的な情報だけでなく、「自分はこう感じる」「これを実現したい」「自分はこれが得意だ」「自分はこういうものが好きだ」と、一人称で語れる生徒には大きな可能性を感じる。意見やアイデアが他者にない独自性や知的魅力にあふれているからだ。

自分の内側にある資源を生かすことを「セルフマネジメント」と呼ぶ。次回以降、このセルフマネジメント力を伸ばすためにどのような教育が有効なのか詳しく述べる。


【プロフィール】

ふじた・かつとし 上智大学経済学部卒。米クレアモント大学院大学P・Fドラッカー経営大学院で経営学修士号取得。企業幹部をはじめ大学生や高校生を対象にした次世代経営リーダーの育成プログラムを展開。著書に『ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント』(日本実業出版社)など。