セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(3) リーダーの基本的な条件

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

昨今、学校でも「リーダーシップ教育」が注目を集めている。有名企業のリーダーの経験談を聞いたり、コーチングやファシリテーションの技能を学習したりすることはもちろん有効だ。だが、ここで一度「リーダーとは一体何か」という問いに立ち返ってみたい。

成果を上げたさまざまなリーダーを観察したピーター・ドラッカーは、あるとき「リーダーの最も基本的な条件」は何かと問われた。ドラッカーはしばらく考えたのち、「フォロワー(信頼して支えてくれる人)がいることだ」と答えた。

「部長」「課長」「委員長」「キャプテン」といった「肩書」を得られればリーダーになるわけではない。振り向いたときに誰にも「フォロー」されていない人は、リーダーとは言えない。

では、人の信頼を得るために大切なことは何だろう。ドラッカーは著書で、次のように述べている。

「信頼するということは、リーダーを好きになることではない。常に同意できることでもない。リーダーの言うことが真意であると確信を持てることである」(『未来企業』ダイヤモンド社)

前回の内容ともつながるが、自分の「真意」を語るのには勇気がいる。周りに嫌われたくない、浮きたくないなどの理由で社会人も学生も、自分の真意を語ることができない。だが「(賛成できるかどうかは別として)この人は心から自分の真意を語っている」と思える人を、人は信頼するものだ。

企業でも、リーダーとして最も嫌われるのは「上司、部下、顧客など相手によって言うことをころころ変える人」だ。あるいは、猛烈に頭が切れる優秀な上司でも「心の底で何を考えているか分からない」人物を信頼して付いていく人も少ない。

学生も社員も自分の真意を隠す傾向がある。せっかくグループワークやチームプロジェクトを行っても、おのおのが周りの意見に合わせ過ぎることで「全く面白みのない」アイデアしか生まれない場合がよくある。

だからこそ、学校は特に「安心して対話や発信できる場」をなるべく多く持ってほしい。そうすることで「心理的安全性」が高まり、真意を発しやすくなる。

全員が賛同してくれるわけではない。だが自分の真意が誰かに伝わり、そこから信頼し合える人間関係という貴重な財産ができれば、1人では成し得なかったことができるようになる。それこそが、リーダーの目指すべき姿であるはずだ。