【校長としての心構え(11)】「見える化」する大切さ その3

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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見える化する意味

見える化―その1で、校長権限に属する部分を表化して分かりやすくすると共に、権限そのものを意識してもらう大切さを述べた。その2では教育目標が形骸化しがちで、日常の教育活動・教育実践と結び付いていない学校が多いため、教育目標を細分化し、それぞれに日々の教育活動を結び付けるための図解化をして、目標と実践とを結び付ける大切さについて述べた。

今回は、教育の成果を見える化する意味について述べる。

「大学入試センター試験」の得点の見える化

教員を元気付けるのは何といっても子供たちの成長であり、その成長を実感できる成果を共有することは教員のモラールから見ても、とても大切である。

では何をもって、この成果とするか。さまざまな進学校がいろいろな数値を目標に掲げているが、西高としては特定の大学の合格者数を目標値とするのに抵抗感があった。むしろ、高校時代に学ぶべき事項を確実に習得しているかを確認する意味から、大学入試センター試験が一つの基準になるのではないかと考えた。

センター試験は基礎基本であり、当然全問正解という意味で100%の正解率としたいが、当然ミスや勘違いはあるので、80%の正解率を基準とした。

しかし、ここで一つ問題があった。大学入試センター試験はある程度難易度を一定にしようとしているが、どうしても年度により差が出てくる。問題が易しい年は正解率80%を超える生徒が多いが、必ずしも学習指導の改善充実を意味しているわけではない。当然、逆も言える。ではどうしたらよいか。

全国の平均点との差を科目ごとに積み上げる棒グラフ

そこで考えたのが、各科目で西高校の平均点と全国の平均点との差を見るという方法である。実際の数値を使い具体的に説明する。

2007年度(平成19年)試験では国語(200点満点)の西高の平均点は139.2。全国の平均点は107.6で、その差は31.6となる。これだと、年度による問題の難易度を考える必要がなくなる。国語、数学、英語に、選択科目の理科や社会でも20人以上の受験者がいる地理B、日本史B、化学、物理などの9科目を加え、合計13科目の平均点の差を足し合わせると、07年度は208.0点、次の08年度は229.7点となる。

西高では、毎年全校生徒に配布する「進路の手引き」にこの大学入試センター試験の数値も記載しており、これを見れば過去の数値も簡単に分かる。
2000年代前半は差は150点程度であった。年度により上下があるが、次第に上昇し、11年度には250点を超え、13年度には270点を超えている。

毎年各教科・科目担当者が1点ずつ上げるように頑張ると、合計で13点上がることになる。また、上がらなかった場合、なぜ上がらなかったのかを検討することが教科にとって、次年度に向けてのとても良い勉強になる。

右肩上がりのグラフは分かりやすい目標となり、同時に教員たちの意欲向上につながる。

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