クオリティ・スクールを目指す(151)新しい中学校づくりに迫る

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教育創造研究センター所長 髙階玲治

中高一貫校の在り方として

中学教育3年間をどう充実させ、成長につなげていくか、が問われている。9年間の義務教育学校もあるが、中高一貫校として将来へ積極的に伸ばす試みが広がっている。横浜市立南高等学校附属中学校も新設校として教育課程などに独自の実践を試みている。それが『成功事例に学ぶカリキュラム・マネジメントの進め方』(教育開発研究所、2019)として結実した。

この図書を一読して感じたのは、中高一貫校ではあるが併設型で、中学校が独自に学校運営を展開している姿である。その具体的な姿は校長のビジョン経営やカリキュラム・マネジメント、また「EGG(エッグ)」と呼ぶ総合的学習など、かなり網羅的に描かれている。

小項目が多く、最初は説明不足かと思えたが、むしろコンパクトに整理されていて、よく分かるように書かれている。そのため、学校が実施している活動の構造が具体的で、参考にできることが多い。

学校が最も力を入れているのは学力向上であるが、受験を突破した生徒たちであってもその指導はこまやかである。具体的な指導では、「満足度90%をめざす中期目標の設定」「生徒の実態をふまえた4期の設定」「『学力差』の拡大を防ぐプラン」「徹底的な分析による課題の把握と改善」「『中だるみ』の発生を防ぐプラン」などがみられる。放課後の個別相談や家庭学習にも力を入れていて、その成果は高い。

注目したいのは、EGGと愛称で呼ぶ総合的学習で、その意味は、Explore(さがす)、Grasp(つかむ)、Grow(のびる)の頭文字から取っている。最後のGrowが面白い。

特に学年の成長に伴って指導を変えていることで、例えば「課題の設定」の段階では、「KJ法で設定する」「課題を序列化する」「体験を対比する」「グラフの推移を比較する」などとしている。「情報の収集」や「整理・分析」の段階でも同様である。さらにEGG講座として社会・企業などの体験も実施している。

各教科ではそれぞれの授業スタイルの確立を目指していて興味深い。また、道徳では独自な参加型学習があって、基本は「アクティビティ」と「振り返り」で、ディベートやロールプレーなど多様な活動を通して体験的に学ぶ時間を多く設定している。

このように南高附属中は多彩な学校づくりを行っているが、若手教員の増加による共通実践の難しさが伴うであろう。

ともあれ、中学校が新学習指導要領の実施に向けてどう進化すべきか、その手立ての具体的な在り方をこの図書は提示してくれていると考える。