令和時代の扉を拓く(3)教員の定年延長を早急に進めるべき

教育創造研究センター所長 髙階 玲治

学校の働き方改革は徐々に進行しているであろう。その成果をどう考えるか。少なくとも過度の勤務時間を軽減する効果はかなりみられるのではないか。

一方、働き方改革によって浮き彫りになった学校の実態はブラックなどと言われ、そのイメージがかなり急速に広まった。

それが企業などの人手不足と重なって、教員希望者の急激な減少を招いている。地域によっては、最近まで十数倍だった応募倍率が、1倍近くまで低下している。極めて深刻な事態である。

周知のように2015年5月に教育再生実行会議第七次提言で「3 教師に優れた人材が集まる改革」が打ち出され、その後「教員育成指標策定」が行われてきた。

なぜ、この提言がなされたかといえば、教員の大量退職、大量採用の影響によって年齢構成や経験年数の不均衡が生じ、教員を巡る環境が大きく変化しているためである。確かにあと数年たてば20代教員で大半が占められる学校が出現すると言われたりしている。

また一方、例えばSociety5.0に向けた教育の大きな変化が予測されていて、優れた人材の確保が求められている。教師の力量アップが今後重要な課題となることは確かである。

そうした教育再生実行会議の提言であるが、今年の教員希望者急減までは予想していなかったのではないか。ただ、2030年の改革に向けて文科省は小学校教員希望者の減少を危惧しており、徐々に減少する傾向の把握はあったと思われる。

しかし、事態の変化は急激である。教員希望者急減によって資質・能力の低い教員が採用された場合、研修や学校体制によってその向上が容易にできるとは思えない。現有教員の資質の向上でも難しいのである。

文科省は「全ての教員は高度専門職」と言うが、その資質獲得は容易ではない。

そこで、現在企業などで検討されている退職年齢の引き上げを、教員の世界でも早急に実施する必要があるのではないか。

例えば東京都の校長再任用などをみても、5年延長しても十分やっていけると判断できる。さらに7~8年同一校勤務の校長になって、むしろ地域と一体化し、良好な関係を築いている例は多い。

校長以外の再任用は多くみられるが、退職年齢引き上げを早急に実施すれば、経験豊富な教員が残って、学校の層構造が豊かになることは確かである。また、教員個々の特性の活用があってもよいのではないか。

ただ、年功序列的な一斉再任用には疑問がある。再任用の一応の歯止めは必要であろう。

令和時代を迎えて、教員人事について柔軟な対策への転換が求められる。これからは多様性、効率性、生産性などが求められる時代になる。教員希望者激減からくる学校の質低下をどう補うか、重要な課題である。