セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(5) リベラルアーツの意義

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

『人生の教養』『経営者のためのリベラルアーツ入門』など、昨今、社会人向けの書籍には「教養」「リベラルアーツ」という言葉が付くものが多い。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周著)といった書籍も大いに売れたという。

リベラルアーツとは、ギリシャ・ローマ時代に源流を持ち、欧州の大学制度において「人が持つ必要がある実践的な知識・学問の基本」とされた自由七科を指す。

現代では人文・社会・自然科学の基礎分野を横断的に教育するプログラムに与えられた名称でもある。

「リベラル」の言葉どおり「人を自由にする知」とも言われる。米国では「リベラルアーツカレッジ」と呼ばれる大学があり、大統領やノーベル賞受賞者、著名な政治家・経営者にはこのカレッジの出身者が圧倒的に多い。

欧米では、リーダーの育成にリベラルアーツ教育が不可欠と認識されている。なぜだろう。

優れたマネジメントを実践するためには、幅広い分野の知から得られる、自由で創造的な発想が欠かせないからだ。

仕事においても学問においても、単一分野に閉じた狭い視野からは、斬新で創造的なアイデアは生まれない。教育と経営、政治とデザイン、スポーツと経済など、異分野の知を融合する自由な発想をすれば、新しい可能性が開けてくる。

ピーター・ドラッカーはこう言う。

「マネジメントとは、一般教養である。(中略)マネジメントに携わる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史、物理学など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけなければならない。それらの知識によって成果をあげなければならない」(『新しい現実』ダイヤモンド社)

マネジメントとは、人に関わることだ。だからこそ、人間や社会に関連する幅広い領域に関心や知識を持っていることが、組織の方向性を決めたり、人のモチベーションを高めたりする上で役立つ。

高校や大学で学ぶ一般教養的なテーマを社会人が学び直すという逆転現象も起きている。

生徒・学生の皆さんには、自分が専門的に学びたい領域だけでなく、さまざまな分野の知を貪欲に学ぶ習慣を身に付けてほしい。歴史でも、哲学でも、美術でも、文学でも、まずは自分が関心のあるテーマでよい。

一見専門性とは離れて見えるそれらの知識が、近い将来、就職または起業して人と組織をマネジメントする立場になったとき、必ず生きてくる。