セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(6)企業の目的とは何か

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

企業の不祥事や、社会的責任を問われる事件が後を絶たない。虚偽の業績を発表したり、道義にもとる形で強引に利益を稼ごうとしたりする姿が報道される。

これらのニュースを見て、若者たちが企業に対して負のイメージ――「企業で働く人の目的は結局、お金もうけだろう」という誤った印象を持たないかと心配だ。

ピーター・ドラッカーは「利益は企業の目的ではなく手段だ」と言った。人が集まり、利益だけを目的に働くとどんな悲惨な結果になるか、私たちは散々目にしてきた。

では、企業の目的とは何か。それは、事業に込めた「志」と「使命」に向かい、仲間と協力して「顧客」を創り続けることに他ならない。

ドラッカーはまた、こうも述べている。「企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である」(『現代の経営』ダイヤモンド社)。

ここで言う顧客とは何だろう。辞書を引くと「ものやサービスを買ってくれる人」という一般的な定義に加え、もう一つ重要な意味がある。「得意客、ひいきにしてくれるお客」、つまり「ファン」のことである。

提供するサービスや商品を心底愛し、長く購入してくれる顧客(ファン)を創造し続けることこそが企業の目的だ。

利益や数字ばかりを目的にした企業の社員は、「顧客の喜ぶ姿」や「社会に求められる価値」といったものに関心を持てない。全ての判断基準が「利益」「数字」になる。

残念ながら、実際に多くの企業の現場はそのような状態にあり、顧客の創造という大切な目的を見失っている。

世の中には素晴らしい会社経営をしているリーダーもたくさんいる。利益や数字を超えた事業の目的に真摯(しんし)に向かっている経営者たちである。そのような会社では、社員も仕事に誇りを持ち、顧客から圧倒的な支持を得て、地域社会にも愛され続けている。

われわれは「良い会社とは何か」「企業が本来目指すべき目的は何か」といった大切なテーマを、若者たちにもっと伝えなくてはいけない。豊かな社会を実現するには、さまざまな規模の良い企業が数多く生まれることが不可欠だからだ。

全世界で200年以上存続している企業の半数以上が日本企業という調査結果がある。これは日本が世界に誇れる事実だ。

幾多の危機に直面しても自らの事業使命を忘れず、顧客の創造に人生を捧げ、脈々と経営のバトンを引き継いできた偉大な先人たちがいる。

企業の目的とは何か、彼らから学ぶべきことは多い。