セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(7)五つの質問から学ぶ

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

私が卒業したドラッカー・スクールのある米ロサンゼルス近郊のクレアモント市を起点に、高校生向けの興味深い取り組みが広がっている。「Drucker for Future Leaders(未来のリーダーのためのドラッカー)」といい、高校生たちが「マネジメント」を学び身近な活動に活用するというものだ。

同プログラムを開発したクレアモント大学院大学のDrucker Institute(ドラッカー研究所)によると、南カリフォルニアを中心に延べ1万人近くがこのプログラムを受講している。最近では日本の高校生が夏休みにクレアモントを訪れ、プログラムを体験する機会も増えている。

内容はシンプルだ。ピーター・ドラッカーがマネジメントの相談に乗る際、必ず用いた「五つの質問」を使って、自分たちの組織のマネジメントについて話し合い、実際のプロジェクトを推進する。質問は次の通りだ。

①われわれの事業の「使命」「目的」は何だろう

②われわれの「顧客」とは誰だろう

③顧客が喜ぶ「価値」は何だろう

④われわれが得たい「成果」は何だろう

⑤「計画」はどうするべきだろう

この問いの答えを一緒に探ることで、メンバー間で意識が共有され、チームがまとまり、成果を出しやすくなる。

私がこのプログラムを説明すると、関心を持つ高校はとても多かった。アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)を推進する昨今の流れもあって、プロジェクト型授業、ボランティアやクラブ活動、文化祭、各種委員会など、生徒主体で進める活動は増えている。だが、マネジメントの基本を学んでいない彼らは、チームをうまくまとめられないことが多い。

仮に地域の清掃活動をするボランティア組織をつくっても、「この仕事の目的は何か」「顧客は誰か(誰を喜ばせるための活動か)」「顧客はどんなことに価値を感じるか」といった問いの答えが曖昧だと、チームはばらばらになる。ひどいときには、生徒が好き勝手に動き出し、かえって地域に迷惑をかけることにもなりかねない。

この五つの問いにはマネジメントの要点がしっかりと内包されている。それだけに、どんな場面でも使える。ぜひ、この問いを活用してマネジメントを成功させる経験を生徒たちにしてもらいたい。一度経験すれば、その後の人生のマネジメントが求められる場面で、いつでも活用できるようになる。