クオリティ・スクールを目指す(152)フィンランドの自立の教育

eye-catch_1024-768_takashina-school

教育創造研究センター所長 髙階玲治

幼児からスキル重視の活動

これからの教育における最も重要な課題は子供の「自立」を形成することだと考える。周知のように新幼稚園教育要領は幼児からの「自立心」の育成を大きな目標に据えている。その自立の教育は外国ではどうであろうか。

奈良県教育振興会の会誌『やまと』に載っている畿央大学・中村恵準教授の「フィンランドに学ぶ子どもの自立」は興味深かった。

フィンランドの教育は、OECDの国際学力調査以来、わが国がしばしば羨望のまなざしを向けているが、2016年に小・中学校のベーシック・カリキュラムが新しくなったとされる。まずは、そのことが注目される。

育成する横断的能力として掲げているのは、①思考と学びにつながる学習②文化的能力、相互作用および自己表現③自己管理・日常生活の管理④マルチリテラシー⑤ICTコンピテンシー⑥働くための能力と起業家精神⑦社会参加、関与、持続可能な未来の構築――である。

中村準教授は、日本では資質・能力は三つの柱で育むとされているが、フィンランドは幼児期から「人として、また社会の一員としての育ちを育むためのスキル」を一貫した視点で捉えているという。

確かに、掲げられている7つの能力をみるだけでも、社会生活に関連した多様な項目が幅広く示されているだけでなく、未来志向が明確である。その基盤になるのが「自立」である。幼児期も同様に行われる。

例えば、フィンランドでは、子供は誕生の瞬間から一人の人格を持った社会的存在として迎えられるという。そのため、子供が母体に宿ったときから継続的な援助がスタートする。

例えば、保育と教育の機能を併せ持つ日本の子ども園のような施設、パイヴァコティがある。女性のほとんどがフルタイムで働くための有益な施設である。

その教育の仕組みがネウボラである。妊娠期から就学前にかけて子供や家族を対象にするネウボラ、青少年ネウボラなど、成長に伴った切れ目のない活動がみられるという。

幼児の成長支援は、保育者が何かを指示するのではなく、子供自身が遊びや活動を主体的に選択し、保育者は子供の声に穏やかに耳を傾ける。よく整えられた教育環境の中で子供が自立的に活動する姿を見守る保育者の姿が印象的だったという。

中村準教授は、「フィンランドでは、子供を育む有機的環境をベースとして、Well Beingの考えが貫かれ、第一に個が尊重されている。それは子供・保護者・保育者・働き手すべてに共通している。社会的価値観と保健、教育の歯車が互いに機能しあうことで、社会全体で情動的スキルを育むことを実現している」と述べている。