セルフマネジメントの時代~生徒のライフデザイン力を育む(9)イノベーションの起こし方

プロジェクトイニシアティブ代表取締役 藤田 勝利

変化の激しい時代である。2016年には、Brexitと呼ばれる英国のEU離脱が国民投票で決まり、米国では大方の予想を裏切り、共和党のドナルド・トランプが第45代大統領に就任すると決まった。

日本でも、少子高齢化という大きな変化をはじめ、金融、製造業、外食、小売業など、さまざまな業界で次々に合併・協業が発表されるといった構造変化が起きている。情報化とグローバル化により、世界はかつてないスピードで変化している。

前回も書いたように、現代は「イノベーション」が求められる時代でもある。変化の激しい時代に、われわれはどのようにイノベーションのチャンスを見つければよいのだろうか。

かつて私が企業の新事業開発の責任を担っていたとき、ピーター・ドラッカーの言葉から重要なヒントを得た。「イノベーションとは、起業家に特有の道具であり、変化を機会として利用するための手段である。それは誰でも学び、身につけ、実践できる」(『イノベーションと企業家精神』ダイヤモンド社)がそれだ。

「どのようなサービスがヒットするか」「どれだけ売上が上がるか」ばかりを考えていた私にこの言葉は衝撃的だった。問うべき問いが全く違うことに気付かされた。

ドラッカーは、世の中で起きている「変化」を観察し、その変化を事業に生かす方法を探れと言っている。単に顧客の声をそのまま聞くということではない。イノベーションを起こすためには、顧客の声以上に世の中の変化を見なければいけない。

希代のイノベーターと称されたアップル創業者のスティーブ・ジョブズも「顧客が今後、なにを望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが僕らの仕事なんだ。ヘンリー・フォードも似たようなことを言ったらしい。『なにが欲しいかと顧客にたずねていたら、〈足が速い馬〉と言われたはずだ』って」と言った。

「日本はこれから少子高齢化だから」「人工知能に人の仕事が奪われるらしい」と、周囲で聞いた話を悲観的なトーンで話す学生が多い。だが、それらの変化は受け入れるというより、イノベーションに生かすべきものだと彼らには伝えている。未来思想家のアラン・ケイとドラッカーは異口同音に主張する。「未来を予測する最良の方法は、自らそれを創り出すことだ」と。

ビジネスやイノベーションを通じて、違う未来を「創り出せる」ことを、若者たちは知っておいてほしい。

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