クオリティ・スクールを目指す(155)自学自習する子供は伸びる

教育創造研究センター所長 髙階玲治

自学自習する子供は伸びる

小学校5・6年生を受け持ったときの数人の教え子に、46年ぶりに出会えた。

大企業の部長という一人が「小学校のとき自分で選んだ課題を追究して先生からほめられた。それがうれしくて、その後の勉強の励みになった。その勉強のやり方を自分の子供にも教えている」と語っていた。

また、高校教師は「先生からずいぶん注意されたけど、頑張って劣等感をなくし、今は元気にやっています」と語っていた。彼は子供のころ発言するとき、決まって「あのー、間違っているかもしれませんが」と言い訳していた。発言を聞いて「間違っていないよ」と言っても次にまた同じことを言う子供だった。

その当時、私はどうすれば子供たちが自分から勉強するようになるか、を考えていた。結果として全員がよく勉強した。

ある日、一人の母親が訪ねてきて、「先生、何かやったのですか」と言った。「どうしたのですか」と言うと、「うちの子供が夜遅くまで勉強するようになったのです」と言う。「目を輝かせて勉強しているので、もうやめなさいと声を掛けにくくて困っています」と。

私は「自学自習できる子供は伸びる」と信じていた。そこで、家庭で自習する習慣が大切と考え、最初に2週間ほど宿題を毎日出した。全員が家庭での学習習慣ができたと思えた頃、私は「これから宿題を出しません」と宣言し、自分で課題を見つけて学習するように、と言った。

そして、ここが肝心なところであるが、グループで、始業前3分程度の時間をとって、前日の家庭学習について表を作り相互点検させた。勉強した内容を見て、「よくやった◎」「やった○」「やらなかった△」で評価させた。

自学自習の内容は、子供それぞれである。子供は自分のやりたい学習を選んで勉強する。一見、バラバラのように見えるが、グループの中で相互に学習の仕方が分かるから強い刺激になった。

家では全く勉強しません、という子供がいたが、勉強好きになった。その子はあとで学級委員長になった。親がびっくりするほど子供たちは勉強するようになった。

子供それぞれは個性的で、行動に力があった。私は当時「創造学習」を提唱していて、直観的思考と論理的思考をつなぐ授業を展開していた。

私はその学級を6年の途中で転出した。あの勉強のさせ方はよかったのか、とずっと考えていた。久しぶりに会えた教え子たちの証言で、自学自習のよさを改めて確認できた思いである。