クオリティ・スクールを目指す(156)教員の高度専門性が保障されていない

教育創造研究センター所長 髙階玲治

週2時間プラスの研修確保を

OECDのTALIS2018年調査が公表され、教員の職能向上についての極めて重要なデータが示されていた(『教員環境の国際比較 OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書 学び続ける教員と校長』国立教育政策研究所編、ぎょうせい、2019)。

「小中学校の教員の職能開発活動に使った時間」のデータであるが、それによると週当たり、日本の小学校0.7時間、中学校0.6時間であった。調査国平均(中学校)は2.0時間である。

職能開発活動の時間とは、教員の能力向上に使った時間である。それがこのように少なく最低であった。

さらに勤務時間全体から見ると異常なほど少ない。調査国平均の勤務時間は中学校38.3時間であって、割合から言うと5.2%である。ところが、日本の小学校の勤務時間は調査国中最長で54.4時間、割合は1.3%。中学校も最長で56.0時間、割合は1.1%である。

日本の教員の職能向上の時間がいかに少ないか、をこの数値が示している。

これからの教育を維持するには、教師の資質・能力が重要である。さらに2030年に向かい、Society5.0における新たな教育の在り方が求められている。それについて文科省は、「学校においてこそ、子供たちは対話や協働、学び合いや教え合いなどを通じて人間としての強みを更に伸ばし、発揮することが求められており、教師には、高い専門性を磨くとともに、集団としての学びの質を高める力量が必要になる」と述べている。

教員の高度専門性の必要はいつも語られる。

しかし、実際はどうか。TALIS調査が示すように調査国中最低なのが日本の実態である。このような状況でSociety5.0を迎えることは誰が考えても無理であろう。

それは現在進められている学校の働き方改革にほとんど実効性がみられないことをみても言えることである。日常の職務遂行の処理を軽減するだけで精一杯なのが実態である。

働き方改革の基本理念は、その改革を通して生産性を上げることである。学校で言えば教員の資質・能力を向上することで、よりよい教育実現が行われることである。

その教員の資質・能力には一定の職能開発活動の時間が必要であることは言うまでもない。その時間が極めて不足しているのが明らかになった。

そこで、TALIS調査国の平均週2時間を目指して、わが国でも職能開発活動の時間を維持すべきでないか、と考える。働き方改革もその時間確保を優先課題にして取り組む必要がある。欲を言えば、週2時間プラス程度の時間が最低必要ではないか。

文科省は現在、小学校高学年の教科担任制導入を進めていて、来年度概算要求に教員加配を盛り込むようであるが、是非実現してほしい。

Society5.0における教育実現に向けて教師の高度専門性を着実に高めてほしい。