【校長としての心構え(16)】部活動を管理する重要性 その1

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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部活動の盛んな学校

西高は部活動がとても盛んであった。新入生を迎えた4月から春の全国大会の予選が終わる6月ごろまでは、グラウンドも体育館も運動部の生徒たちであふれかえっており、特に、高校最後の大会に打ち込む3年生の熱気はすごかった。部活動加入率は100%を超えていたが、これは、二つ以上の部に加入している生徒がいるからである。

当時進学校としては珍しく、都教委から部活動推進校の指定を受けていた。毎年、どこかの部が関東大会や全国大会に出場しており、生徒会は手書きで横断幕を作って、出場を祝っていた。全国大会に出場しないまでも、都のベスト16に入っている部が多く、入試でスポーツ推薦枠を持たない高校としては際立った成績であった。

西高が関東地区の高校のアメフット発祥地であることから、歴代校長は全国高等学校アメリカンフットボール連盟の会長に就いており、私も務めていた。そのため、春と秋の都大会と東日本大会、全国大会の決勝戦ではトロフィーを授与するために必ず試合会場に足を運び、選手たちの意気込みを肌で感じていた。

部活動を考える大切さ

部活動とはそもそも何なのか。これを考えることはとても大切だと思う。学校教育の基本的な事項――どのような授業内容で、どの程度勉強すれば進級や卒業ができるのか――は、ご存じのように学習指導要領に定められている。では部活動は何と規定されているか。答えは「何も規定されていない」である。これを聞いて多くの保護者が驚いていた。

私の校長時代は、「保健・体育」の学習指導要領にあった「運動部活動との整合性を図ること」という一文が、部活動に関する唯一の記述であったと記憶している。だから「本校は部活動を一切やりません」といっても法的には全く問題がない。

とはいえ、学校の管理職として部活動には関知しません、とも言えない。むしろ、学習指導要領で何も決められていないからこそ、各学校が部活動に対する一定の考え方や基準を持っておく必要がある。体罰や不適切な指導、熱中症をはじめとするさまざまな事故のリスクを考えれば、これほど配慮しなければならない教育活動はない。改めて、管理職として部活動を管理する重要性を痛感した。

部活動を授業と比較すると

一般の授業と部活動とを比べて、どちらがより高度な技術・知識が必要かを考えてみると、間違いなく部活動に軍配が上がる。

例えば、体育の授業のバスケットボールの練習とバスケットボール部の練習を比べてみれば明らかだろう。

授業がバスケットボールの場合はバスケ部員が、サッカーの場合はサッカー部員が、体育教師の補助を務めている。技術的には教師を上回る生徒も多い。

文化部活動も同様に、化学や地学の授業と部活動を比べれば、部活動の方が内容のレベルが高い。囲碁や将棋となると、生徒の方が強い場合も多い。

授業に関しては、厳密に免許制にのっとり、免許を持たない者だけで授業をするのは許されていない。文科省や教育委員会は常に教員の資質・能力の育成に力を入れている。

それなのに、授業以上に資質・能力が問われるであろう部活動について、何も規定せず、何も指示していないのは、大きな矛盾であると思っていた。生徒の主体性を尊重した結果なのだろうか。

どのように主体性を育てるかは、学校にとってとても大事なテーマである。ここにも、学校の責任者として部活動を管理する大切さがある。

(つづく)

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