【校長としての心構え(17)】部活動を管理する重要性 その2

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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部活動ではまず、校長として顧問の教員を大事にしようと考えた。理由は、今から30年以上前、ある高校で次年度の部顧問を決定する調整役を担っていたときの経験にある。

校内の人事が、教員間の選挙や調整で決まっていた時代である。部活動が盛んな学校だったので、どの部の顧問になるかで、この先1年間の日曜日の状況が全く違ったものになる(まだ土曜日に半日授業があった時代)。

活動熱心な部の顧問になると、日曜はおおむね、午前か午後のどちらかに部活動の練習で登校することになる。大会の最中は、土日連続で生徒を大会に引率することも珍しくなかった。当然、日曜にゆっくり自宅で休むのは難しくなる。

強豪部の顧問をしていた教員が異動になると、調整役は次の顧問を探すのにとても苦労した。新しい教員が来ても、その人が引き受けてくれるとは限らないからだ。最悪、調整役が泣く泣く顧問を引き受けざるを得ないケースもある。

この経験から、部活動の顧問は教員に希望を聞いた上で決定し、当人の意に添わない場合は校長がやると自分に課した。教員には技術指導ができなくても全く構わないこと、指導に従わない生徒がいたら学校として対処すること、部活動のOB・OGが運営に口出しして迷惑に感じるようなことがあれば、いつでも校長がOB・OGに直接話をする意思があることを伝えた。

このようにまず、教員にきちんと納得してもらってから顧問になってもらうことにした。

指導補助員の確保

指導技術については顧問ではなく、できるだけ外部の人材に頼るようにした。指導補助員の確保に注力したのである。

西高は当時、都教育委員会から部活動推進校の指定を受けており、雇用に充てる報償費が他の学校よりも若干多かったため、これをフル活用することにした。指導補助員は本校OB・OGの大学生に依頼した。人となりもよく分かっているし、顧問と良好な関係を築きやすく、費用面でも比較的負担が少なくてすむ。施設設備にも慣れているので最適だと考えた。

顧問と指導補助員を依頼するに当たって、彼らに校長室に集まってもらい、心に留めてほしい二つの事柄を伝えた。

一つは、部活動では技術や経験の有無にかかわらず、顧問が一番偉いということ。顧問は、部活動の責任を負う立場であるからだ。

最終的な責任は校長にあるが、けがをしたときに受診させたり、家庭に連絡を取ったりするのは顧問であり、現場では顧問の責任の下、物事を決定したり対処したりする必要がある。

それゆえ、責任ある者が権限を持ち、決定できるシステムにしておく必要があることを理解してもらった。顧問の言うことが聞けない指導補助員は、すぐに辞めてもらうことになると告げた。

もう一つは、指導補助員としての自覚である。指導補助員は顧問の次に偉い存在であり、万が一上の学年の先輩が部活動の練習に口を挟むようなことがあった場合、助言の内容にかかわらず、先輩を止めなければならないと伝えた。もしその先輩が君たちの言うことを聞かないのであれば、顧問にすぐ連絡するか、それが難しければ校長に言いに来てほしいと言った。

こうしたルールは、責任ある者が物事の決定権を持つシステムを維持するために大切である。もしそのような先輩がいた場合、必要に応じて、部活動への立ち入りを校長の責任で禁止することもあり得ると説明した。卒業生の指導補助員たちは、真剣な顔で聞いてくれた。

こうして、顧問・指導補助員の縦の責任体制ができた。

(次回に続く)

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