クオリティ・スクールを目指す(158)教員不足をもたらした免許更新制

教育創造研究センター所長 髙階玲治

そして誰もいなくなった

中教審教員養成部会で特別免許状の活用促進について協議が始まったという(本紙9月9日付)。特にデジタル機器の活用など、学校が抱える多様な課題に対して、社会人を積極的に活用する案、そのため都道府県教委が特別免許状を授与しやすくする方策などが論議されている。兼業が認められるという背景もある。

一方、最近学校が抱えている問題に、産休や病欠などの代替教員が足りず、教頭や教務主任が学級担任になるという働き方改革とは真逆の状況が生まれているという実態がある。

朝日新聞によれば全国の小中学校で1200件以上の「未配置」が起きているという(8月5日朝刊)。全国72教委を対象とした調査で、「非正規教員が必要になったり、未配置が増えたりする理由」として「あてはまる」と回答したのは、「特別支援学級が増えた」55教委、「産休・育休取得者が増えた」54、「病休者が増えた」30、「早期退職者が多かった」23、「再任用を希望する退職教員が少なかった」22――という結果である。それでいて補充が限界にきている。

代替教員について「教委も学校も、とにかく見つけようとしているが、探しても人がいない」と県の担当者が話しているという。

なぜ、このような事態になったのか。私はその背景に教員免許更新制があるのではないか、と疑っている。

かつては教員免許状を持ちながら社会人になっていた「ペーパー・ティーチャー」がたくさんいた。それが姿を消したのである。今年の夏も教員免許更新講座は盛況だったというが、現職教員は10年ごとに受講しないと免許状が「失効」する。

ただ、ペーパー・ティーチャーの受講は難しい。教員採用の内定者など一部を除いて、更新講座の受講資格がなく、免許状は失効する。

教員免許更新制が始まったのは2009年。この10年間でどれほどの人が免許状を失効したか。大学時代、大量の単位を取得して獲得した教員免許状は無効になった。県の担当者が「探しても人がいない」というように、アガサ・クリスティの小説ではないが「そして誰もいなくなった」のである。

その結果として、学校の負担は増すばかりである。教頭や教務主任が学級担任を兼ねている状況は早急に改めるべきで、中教審の審議会は働き方改革の真逆の実態こそ確認して早急に改善すべきである。

また、教員の勤務状況には多くの課題がみられることから抜本的な改革を志向すべきである。Society5.0は現実の課題なのである。