【クオリティ・スクールを目指す(159)】小学校教員はAI時代にも生き残る

教育創造研究センター所長 髙階玲治

将来も必要とされる存在に

「小学校教員の不人気深刻」という記事が新聞に載り始めた。以前は採用倍率が10倍を超えていたが、近年は2倍前後が普通になりつつある。

小学校教員のイメージはあれもこれもと仕事が過重という印象が強い。確かに、OECDの調査を見ても、国際比較でわが国の勤務時間は最長という結果であった。それでいて、英語、ICTやプログラミング教育の導入など、指導内容が複雑化・困難度を増す事態が迫っている。近未来はSociety5.0の時代である。AI時代に果たして生き残れるのであろうか。

ところで、AI時代になれば、これまで人間が行ってきた多様な仕事をAIが取って代わるようになると言われている。残る仕事、なくなる仕事の予測が生まれている。

そこで注目したいのは、教員の仕事はなくなるかどうかという問題である。予測を見てみると、残る仕事に「小学校教員」がみられる。教員一般ではなく、「小学校教員」と限定されているのである。

多くの仕事はAIやロボットに取って代わられるが、次の3つの分野は残ると考えられている。①クリエーティブ系の仕事②経営・管理的な仕事③ホスピタリティー系、つまり「もてなし」を必要とする仕事(『人工頭脳と経済の未来 2030年雇用大崩壊』井上智洋、文藝春秋)。

なぜ、小学校教員は生き残るのか。ホスピタリティー系であるためである。子供の自我が未発達で、さまざまな指導・支援を必要とする。デジタル機器が効率的に導入されても学習などを支えてくれる存在が必要である。子供を自ら学ぶ存在に育てるためには、支援的な教員が必要である。授業する教員のみではなくなる可能性がある。

それに比べて大学はAI時代になればSINET(学術情報ネットワーク)のように他の大学から多様な形で学習内容が提供される仕組みが生まれる。他の大学の優れた講義内容が居ながらにして学ぶことが可能になる。大学教員もうかうかしていられなくなる。中・高校も同じような仕組みが展開される。

このように学校のみでなく、多くの職業は、今は盛んのように見えても安定し続けるとは限らない。職業志望を目先のみで考えると、未来形の職務の姿が見えないままで判断しかねない。職業志望についてAI時代を見越した大学の指導が必要ではないか。

将来に向けて小学校教員が確かな夢や抱負を持てるように、大学の指導で将来のビジョンを示すことが必要である。将来の教育はどう変わるか、必要とされる教職の魅力とは何か、真摯(しんし)に考える機会が欲しい。