【クオリティ・スクールを目指す(160)】全国学力調査を2月実施に

教育創造研究センター所長 髙階玲治

学校活用はどう行われているか

自民党の教育再生実行本部が全国学力・学習状況調査の廃止を含めた見直し論議を進めるという。実施から12年が経過していることから見直し論議は必要である。

ただ、単純に廃止論議に傾くのはどうか。悉皆(しっかい)調査を行った結果として、各学校や地域、社会に与えた影響を考える必要がある。

特に調査実施以前は、自校の子供の学力程度も、学び方の実態もよく把握できていない学校が多かったであろう。それが全国的な比較が可能になって、自校の学力水準を高める工夫が多様に行われるようになった。

例えば、A市は当初、学力が全国平均よりもわずかに高い程度であったが、数年してトップレベルの県並みになったという例がある。

一方では、学力が思うように伸びない理由として自校の持つ課題を見いだした学校もある。学力・学習状況調査全体から自校の「強み」と「弱み」が明らかになったことで、その対策を具体的に考えられるようになった。

また、特に学習状況調査はさまざまな課題を見いだすことが可能であるが、自校の突出した項目を見いだすこともある。

例えば、A小学校は「将来留学したり、国際的な仕事に就きたいと思う」が、全国の16.0%に対して33.3%であった。また、B小学校は、「今住んでいる地域の行事に参加していますか」が全国37.0%に対して6.9%であった。学校固有の課題もまた見いだすことが可能である。さらに、小6、中3という限られた学年では有効な学力向上対策は不可能として、全学年に学力調査を実施している県などがみられる。

だが、こうした学力・学習状況調査の各学校の活用について、どのように行われているか、という調査は実施されているであろうか。確かに細かで膨大な調査結果は各学校に届けられるが、その活用は案外学力の点数比較のみに偏っているのではないか。

調査データは学校として、単に学力点のみでなく、多様な課題発見や解決策を探るエビデンスとして有効に活用したい、と考えるが、実のところ、データは膨大、多忙な9月に結果が届くため自校の課題を分析し、対策を考える余裕がないのではないか。

そこで提案であるが、全国学力調査の時期を小5年・中2年として2月に実施してはどうであろうか。学習レベルは小6年・中3年の4月実施とさほど変わらず、実施後のデータ分析も余裕を持って行うことができる。

さらに、2030年を目指す教育が多様に変化することは確かで、それに伴う新たな調査内容も生まれるであろう。学力調査自体が質的に変わる可能性がある。学校それぞれの実践が国レベルとつながるという意識が学校教育の質向上に大いに役立つことは確かである。

全国学力・学習状況調査の見直し論議は、有効活用可能な再構築であってほしい。