【令和時代の扉を拓く(8)】教委と学校が共創する

教育創造研究センター所長 髙階 玲治

ICTの学校環境整備について文科省は最近、「危機的状況」と言い、文科大臣も「特に力を入れたい」としている。

2018年に行われたOECDの「国際教員指導環境調査」(TALIS)の結果を見ると、「児童生徒に課題や学級での活動にICT(情報通信技術)を活用させる」の項目で「いつも」または「しばしば」活用するという日本の中学教員の割合は17.9%で、調査参加の48カ国中46位であった。

ICTの環境整備は学校として独自に行うことができないハードな側面である。全国学力・学習状況調査を見ても実施上の学校格差が極めて大きい。文科省は自治体と連携して強力に推進したいとしているが、危機的状況からいつ脱出できるであろうか。

ところで最近、学校任せではとうてい無理と思える教育実現が多くなっていると考える。ICTのみではない。小学校英語教育やプログラミング教育などもそうである。教委の支援が必要である。

さらに、教科横断の教育課程編成や地域資源の活用など、地域に即した教育活動を有効に促進する手だては教委が学校と共に進めるべきである。

例えば、学習指導要領に関する中教審答申(2016)は、「社会に開かれた教育課程」を提唱した。「教育課程」の編成は学校で行うが、地域全体からみて何が価値ある地域社会教育かを教委が先導して考える必要がある。学校は校長も教員も異動する。地域住民でない教員も多い。

この場合の「社会」は地域社会のみではないが、地域に関わる地についた教育は教委が提唱する。実施主体は学校だが、教委の目指す教育ビジョンを「共創」することで、ウイン・ウインの関係をつくり出すことが重要である。単なる学校任せの時代は過ぎたのである。教委と学校が「共創」して進める教育の展開を今後いっそう強めるべきと考える。

教委は地域の教育をより豊かにする責務を負う。そのため地域教育経営の充実が課題となる。教育経営とは学校を含む地域の教育を統括的に経営・管理することを意味する。

教委が学校を支援すべき事項は多い。ICTのように予算措置が必要な場合は特に重要だが、日常の実践における関わりでは、採択が決まった教科書に基づく年間指導計画のモデル作成や、卑近な例では新しくなった小学校3年生の地域の歴史学習資料の作成がある。

最近の市町村は広域化していて、同じ市でも市街地あり、農村や漁村ありで、学校環境がかなり異なっている。したがって教委が提供する多様な資料などはあくまでもモデルである。4月当初、多忙な時期の教員の作業を軽減する意味でも、教委の支援は重要である。

さらに学校の実施状況をより確かなものにするために、「学校評価」や「通知表」などのモデル作成がある。

地域の子供を守り、育て、教育を充実・促進する責務は教委にあるのだから、学校がより充実した教育実現を目指すことを容易にするために、教委と学校が共創する教育環境づくりを積極的に進めたい。

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