【校長としての心構え(22)】ほめることの大切さ①

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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おとなしくなった高校生

私は40歳から55歳までの15年間教育行政機関にいた。その間、学校には仕事でよく出向いたものの、生徒たちと親しく交わることはなかった。15年ぶりに学校現場に戻り、最初に持った感想は「生徒たちがおとなしくなったなぁ」だった。

私自身の高校時代は学生紛争真っただ中で、高校三年の時には学校がバリケード封鎖されそうになり、その後しばらくクラス討論が続いた。教員になった昭和50年代後半は、校内暴力やいじめが社会問題化した時代で、対教師暴力も話題になっていた。

だから西高生についても、反抗的でないにしても、教師に対してはどこか見下したところがあるのだろうと思っていたが、とても素直なのに驚いた。

表彰状に喜ぶ高校生

着任直後、4月の始業式の後に、冬から春にかけて部活動などで活躍し表彰された生徒に、改めて校長から表彰状を授与するセレモニーがあった。名前を呼ばれて壇上に駆け上がる生徒たちの、喜びに満ちた得意げな表情がとても印象的だった。そこには、賞賛を素直に喜ぶ若者の姿があった。

そこで翌日の入学式の校長式辞では、新入生に対して「西高でいろいろなことにチャレンジしてほしい」と力説した。さまざまなことにチャレンジさせ、そのチャレンジ精神を褒めることによって一人一人に自信を付けてもらう。これを生徒指導の基本にしようと考えたのである。

チャレンジする姿勢を褒める

失敗を恐れて冒険しない若者たちに、チャレンジする素晴らしさを教えることこそが学校の使命でもあると思えた。学校中でチャレンジしていけば、自然とそれが当たり前になってくる。教員らにも、生徒にさまざまなことにチャレンジさせるよう依頼した。従来から盛んだった運動部のみならず、文化系の部活動、また個人にも各種検定やコンテストなどへの参加を勧めてもらった。

すると表彰状の授与数がさらに増え、ますます褒める機会が多くなった。そこで、学校のホームページに生徒たちの活躍を順次紹介していくコーナーを新設した。生徒たちのチャレンジも地域から全国、世界へと広がっていき、科学オリンピックなどで入賞し、海外に行く生徒も現れはじめた。

(つづく)

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