【クオリティ・スクールを目指す(163)】確かな情報を手軽に入手

教育創造研究センター所長 髙階玲治
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教育動向の基本情報を獲得する

最近、ある学校で「非認知能力の言葉を知っていますか」と聞いたところ、誰も手を挙げなかった。これからの教育を考える上で極めて重視されている言葉であるが、教師間に浸透していない。

2020年を迎えて小学校は新学習指導要領の全面実施に入るが、その段階で必要とされる教育情報はかなり多い。学習指導要領を読まない教員は多いとされているが、校内での「耳学問」も結構多いのではないか。しかし、その程度では十分ではない。

何か簡単に情報を得る手だてがないかと思う。校内研修などによる共通認識とはよく言われるが、必要とされる情報を語り合える時間はわずかである。

そんなとき、手軽に情報を獲得する手だてとして『教育の最新事情がよくわかる本2020』(教育開発研究所、2019)が発刊された。

以前もこの系統の本を出版しているが、今回は2020年へ向けての必要な情報の提供である。序章があって、「『新しい時代の初等中等教育』ってどんな姿なの?」が導入である。

次いで「これだけは押さえておきたい! 新教育課程のポイント」16項目、「よくわかる! Society5.0に向けた教育政策」9項目、「今こそ見直そう! 学校の働き方改革」11項目などが続いている。「なかなか減らない!? 学校の事件・トラブル」11項目や「千差万別! 多様化する子どもや家庭への対応」10項目もある。

項目はよく考えられていて、必要な知識をコンパクトに記述している。ただし、全て網羅しているわけではない。例えば、最初に挙げた「非認知能力」の項目はない。

ともあれ、多忙な毎日の中で新教育課程をどう理解し、どう実践に結び付けるか、は教師にとって大切な責務である。新教育課程の基本情報を知らずに授業実践を行うのは単にマンネリ化した実践を繰り返しているだけで、子供の成長を阻害しかねない。新教育課程を十分理解し、実施できる教師の力量を発揮したい。それが緊急に必要とされている。自己研修として教育情報を理解する努力を惜しんではならないであろう。

最近、多様化しているとされる子供や保護者への対応力を磨くのも重要である。教師の仕事は幅広く、どのような問題にも対処できる力がほしいが、問題解決の手段として専門家に頼るなどの手だても知りたい。

さらに考えたいことは、2020年度から迎える新教育課程の実施についての認識が十分でないことである。本書が示しているように、近い将来Society5.0の時代が到来する。そうなれば教育の在り方が大きく変化するという予測がある。

したがって、最近特に必要とされるのは未来展望である。教師の仕事そのものも変わる事態を予測できる力量もまた必要である。

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