【令和時代の扉を拓く(9)】 校長の同一校在職2年は短い

教育創造研究センター所長 髙階 玲治

最近、学校の「当たり前」をやめよう、という声が強くなっている。学校の古い体質が残っていて、新たな教育実践の妨げになっている例を多く聞く。ただ、校長の同一校在職期間が短く、学校改善に十分注力できない状況があるのではないか。

例えば、西留安雄氏は東京都東村山市立大岱小学校長としての優れた実践で知られているが、組織内の問題点について、廃止、変更、改善、新規を行った例を具体的に示していて極めて興味深い(『学校教育実践ライブラリー』Vol.4、ぎょうせい)。

西留氏の在職期間は2004年度から10年度で6年間である。その実践成果は、学校改革の意志があってはじめて成されたことであるが、それが2年程度であればどうだったであろうか。

ある校長は6年間の在職中、2年ごとに3校変わって、3校目は「大過なく過ごせばよい」という心境になったと語っていた。同一校在職期間2年というのを聞くことが多い。なぜ、こうも在職期間が短いのか。

ただ、2年間でも学校改善に取り組んだ例はある。A小学校長は新任として2016年度に赴任し、17年度までの2年間に30項目について改善したという。さらに新たな「まなび」プラン、「こころ」プラン、「からだ」プランを構想し、実践したが翌年異動となった。

また、B中学校長は、教員時代に生徒の学習意欲を喚起し、レディネスを上げることに努力してきたが、校長となってその思いを自校でも実現したいと考え、最近注目されている反転学習に取り組みたいと提案した。

その結果、教員が賛同し、多忙な業務の合間を縫って教材作成に頑張ってくれたという。その指導の充実が期待されたが、翌年異動になった。

学校の「持続的な発展」の必要が言われる。だが、このように2年程度の在職期間では、じっくりと腰を据えた学校改善ができないのである。最近もある中学校長から、異動したらまた最初からやり直しで、前校で行ったように「主体的・対話的で深い学び」について研修に来て欲しいという依頼があった。

学校は現在、多様な課題に悩んでいる。英語科の導入、ICT教育の充実、プログラミング教育の実施など、多様な実践が求められている。そうした新たな課題への対応すら十分ではない。働き方改革という課題もある。

校長のリーダーシップの重要性がますます高まっている現状でありながら、短期決戦のみを強要しているのが実態ではないか。

Society5.0が間近である。新たな課題が今後多様な形で出現することは確かである。教員の定年延長も含めて、校長の在職期間を延長し、経営の専門性を高めて学校改革に取り組めるような教育環境づくりが必要である。

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