【校長としての心構え(25)】授業を改善する大切さ②

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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生徒の反応

生徒の立場で授業を受けると、面白いことに気が付いた。生徒は、私が参観している授業が自分の得意な科目であれば、私に対してニコニコしている。場合によっては「校長先生も大変ですね」と慰めとも心配ともつかない言葉を掛けてくれる。

ところが、自分が不得意な科目だといい顔をしない。私が近くに座ると迷惑そうな顔をしている。

こういう生徒こそ授業についていろいろ聞くのに適している。授業の中でよく分からないところがあった場合は、授業後その生徒に「この部分がよく分からなかったけど、君は分かった?」と質問する。たいてい同じように「分からない」という答えが返ってくる。そのようなときには二人して、どうしたら分かるようになるのだろうと意見を交わした。

生徒の代わりに質問

私自身が分からず、生徒も分からないのであれば、これは授業そのものに問題があるといえるのかもしれない。少なくとも生徒の証言があるので、職務面接のときに「先生の授業の◯◯の部分が分からなかった」と堂々と質問できる。

教員は「校長に理解させる必要はない」とは言えても「生徒に理解させる必要はない」とは言えない。だから生徒に代わって質問しているというスタンスをとると、教員としても専門的なことを言ってごまかすわけにはいかない。

こちらも観察者という「上から目線」ではなく、あくまで生徒の立場から質問をする。

前の授業で教えたこと

先述の「◯◯の部分が分からない」という質問に対しては、「その前の授業でやった△△が理解できていないから分からないのです」という答えが多かった。教員としては「その点は既に説明しているので理解していてもらわないと困る」という思いであろう。

しかし「全ての生徒が数時間前の授業の内容をしっかり理解しているわけではない」という認識を、教員に持ってもらうことはとても大事である。必要に応じて、その前の授業の内容を短時間で復習すべきであろう。

生徒の立場だと「理解できるように指導してほしい」というせりふはとても言いやすい。この他にも、授業に関して生徒から教えてもらったことはとても多い。

(つづく)

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