【校長としての心構え(34)】人材育成の大切さ⑥

元東京都立西高等学校長 石井 杉生
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(その5からのつづき)
異動も自己決定

そこで、まず「自分のことは自分で責任を持って決める」ということを体験してもらうことにした。当時、都の「進学指導重点校」と「進学指導特別推進校」の計12校の教員異動には、公募制が採られていた。進学指導に熱心に取り組みたい教員に、都教委が行う公募に応募してもらい、12校の校長が面接をして、その中から自校にふさわしいと思う教員を採用していく制度で、数年前から始まっていた。

もし、私の学校経営方針が自分の考えと一致せず、「このような学校では努力することに抵抗感がある」という人がいたら、異動の希望を出してほしいと頼んだ。また、できるだけ意に沿うような異動ができるよう、校長として努力するとも伝えた。

反対に、異動希望を出さない人は、私の経営方針に賛同してくれたものと考えると話した。この学校で努力していく気持ちがあるかどうか、自分の責任で判断してほしいとの思いからであった。幸い、異動希望を出した教員は一人もいなかった。

服務も自己責任

当時、都教委の人事部から服務事故の事例を掲載した資料とともに、「校長は職員会議の前後に時間を取って、服務事故防止研修を実施するように」との指示が来ていた。私自身も教育行政におり、服務事故の事例は数多く知っていたので、研修では職員に向けていろいろな事例を紹介した。その中で、一番強調したのは、服務事故による責任関係であった。

一般的に、所属長には職員の服務監督義務がある。しかし、この研修会を開いたことで、校長としてはその義務は果たしていることになる。したがって、誰かがもし服務事故を起こしたら、校長として人事部に「厳正な処分をお願いする」という副申書を出さざるを得なくなってしまうことを説明した。つまり自己責任ということである。

段階的な責任感

私が校長をしている間に、東京都では主任教諭制度が新たに誕生し、教員組織は教諭、主任教諭、主幹教諭の三段階となった。

そこで、教諭には自分に割り振られた業務に責任を持てること、主任教諭には自分の属している分掌などの集団全体のことに責任を持てること、主幹教諭には学校全体のことに責任を持てることをそれぞれ希望した。そして、この段階的な責任感の育成が教員の力量を高めていくことになった。

(おわり)

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