【クオリティ・スクールを目指す(180)】コロナ禍にチャレンジする学校

教育創造研究センター所長 髙階 玲治
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主体的判断が学校を変える

2月29日に出された安倍総理の学校への休校要請への疑問が最近目立っている。確かに「要請」が「強制」と受け止められて、科学的根拠が不明確なまま、感染者のいない地域でも一斉に休校した。

3月からの3カ月に及ぶ休校期間は学校教育に大きな損失をもたらした。残りの期間での回復は到底望めない。ただ、その損失を埋めようと努力し続けているのが学校や教師たちである。

今回、『ポストコロナ時代の新たな学校づくり』(髙階玲治編著、学事出版、2020)を発刊したが、そこに載っている、休校から開校後の学校の状況(緊急アンケート調査)をみると、かつて経験したことのない緊急対応の連続であったことが分かる。

コロナ禍による休校要請に対して校長会などによる日頃の危機管理体制が有効だったという。教職員の理解徹底と子供・保護者へのコロナ感染予防などの連絡に力を入れた。当初は2週間程度で休校は終わると考えていたが、4月、5月と休校が続いたことで特に家庭学習指導が、例えばオンライン学習などの形で強化されていく。

6月開校後は、周知のように3密回避のための多様な取り組みがみられた。特に年間指導計画の抜本的な見直しなど、授業時間の決定的な不足が重圧になった。さらに夏休みが短縮され、猛暑の中過度の負担が子供に強いられ、「疲れ切った子供や精神的に不安定な子供が増えた」という。ストレスフルな状況への対応も厳しいものがある。

ただ、こうしたコロナ禍への学校や教師の対応は、自校の状況への自主的で積極的な姿勢のようにみえる。次々と湧き上がる課題に対して、その解決に真摯(しんし)に取り組む姿である。

今回の学校の動きをみると、子供の学習の遅れへの対応などで以前にも増して指導に打ち込んでいる教師の姿がみられる。「やっただけ子供の満足感がある」という。結果として2割前後の教員が月80時間以上の超過勤務というデータがみられた。

それは従来までの、決められた年間指導計画を滞りなく実施すればよい、という流れとはかなり異なっていた。子供の置かれている状況から、何が今必要とされるかを見極めて可能な限り適切に対応しようとする。学校の主体性の確立と言ってよい。

そこに近未来の学校の新たな姿があるのではないか。今後、対面指導とICTのハイブリッド化が進むが、そこに潜む問題はその動きの導入を目指す学校の主体的な課題解決力の格差であろう。その意味で、現在のチャレンジ精神が今後も持続することを期待したい。

なお地域のサークルが今は集まれないが、オンラインなどでコロナ禍の経験の交流を始めている。

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