【クオリティ・スクールを目指す(182)】子供の感染、なぜ少ない

教育創造研究センター所長 髙階 玲治
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過度に恐れず対策を

最近のコロナ感染者は徐々に少なくなりつつあるのだろうか。

しかし、世界的にみると終息の気配はない。米ジョンズ・ホプキンス大学の「世界各国のコロナ感染者数(死亡数)」(日経新聞)を毎日見ているが、世界全体で感染者は1日二十数万人増加し、総数が3000万人を超えた。死亡数も100万人に迫ろうとしている(9月20日現在)。

このような世界的なコロナのまん延の中で、不思議なことに子供の感染者数が極めて少ない、と言われている。

例えば、文科省は小中高生の6~8月の感染者数は1166人と発表したが、大人の感染者数が6万人を超えていた。しかも、家庭内感染が全体の56%であるが、子供に限れば学校内感染は2%で、重症者はいなかった。

なぜ、こうも少ないのであろうか。しかも世界的な傾向のようである。

私が子供の感染率が少ない、と知ったのは6月2日の朝日新聞に載った「新型コロナ 子供の重症化少ない」という記事である。「これまでの報告では、新型コロナウイルスに感染する子供は少なく、感染しても重症化する例はまれ」と書かれていた。

例えば、中国、米国、イタリアの調査では感染が確認された人のうち18歳未満は2%以下。感染しても9割以上が無症状か軽症だったという。

その後の情報では、スウェーデンやデンマークなど、海外の一部では「コロナが拡散する力が弱い」として4月からの休校措置をやめた国もあるという。周知のように4月の段階では、ヨーロッパの各国の感染者数が激増していた時期である。

しかし、わが国は3月休校を終えて4月学校再開を目指す段階でコロナ禍への対応が文科省から10項目のチェックポイントとして示された。それは極めて厳しいものであった。そのため、卒業式や入学式を取りやめただけでなく、4月以降も休校が続くようになる。

6月の再開を迎えて、10項目のチェックポイントはそのまま実施される。例えば、検温、マスク、手洗い、換気、一定の距離、部活動や給食の在り方など細かなものであった。それ以外に、放課後に机の消毒も実施された。

それらは子供にも教師にも多大な負担を強いるものであったが、やむを得ないとされて、現在もかなり続けられている。

だが、子供の感染力が少ないことが真実であれば対応はかなり緩やかで済むはずである。しかし、問題は、感染力が少ない、というデータはあっても、なぜ少ないのか、という明確な証拠が見つかっていないことである。

悩ましいことである。山中伸弥ノーベル賞学者の言う「ファクターX」が子供に存在するのだろうか。ただ、過度に恐れることはないことは確かで対応をやや柔軟に考えたい。

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