【クオリティ・スクールを目指す(184)】日本型学校教育とは何か

教育創造研究センター所長 髙階 玲治
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国際的に高い評価とは言うが

中教審の答申『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して』の中間まとめを読んだ(初等中等教育分科会)。

何よりも注目されるのは「日本型」とされる学校教育である。簡単にいうと、諸外国は知育は学校だが、徳育は教会や家庭などで、体育はスポーツクラブなど主に地域で育成されるが、日本はそれら全てを学校が担うとされる。つまり、日本の教員は、教科指導、生徒指導、部活動指導などを一体的に行っていて、それが国際的にも高く評価されているとされる。

教育実績も高い。OECDのPISA調査では世界トップレベルの学力水準を維持し、国内においても学力は都道府県の平均正答率の差の縮小がみられる。

こうした背景から「日本型」の学校教育を一層充実すべく『答申』の課題を設定したのであろうが、周知のように最近の学校は負担増に耐えかねている状況でないか。

「日本型」学校教育の課題は多い。2019年の『諮問』ではSociety5.0の到来を予測し、義務教育、高校教育、外国人児童生徒の教育を課題に挙げたが、さらにこれからの教師の在り方や教育環境の整備などを課題にしている。

しかし、『諮問』の段階では予測できなかったコロナ禍が1年後に起こったのである。中教審はSociety5・0時代の到来に加えて、コロナ禍による先行き不透明な「予測困難な時代」に向き合うことになる。

また、「日本型」学校教育の課題がますます鮮明になってきた。『答申』でも、例えば「本来であれば家庭や地域でなすべきことまでが学校に委ねられ、学校や教師が担うべき業務等の範囲が拡大され、その負担が増加」「教師の長時間勤務による病弊や教員採用倍率の低下、教師不足の深刻化」「学習場面におけるデジタルデバイスの使用が低調など、加速度的に進展する情報化への対応の遅れ」などを挙げている。課題は多様で、その解決は難しいことばかりである。

そうした課題が多い中で『答申』は、子供に身に付けたい主要な課題として「個別最適な学び」と「協働的な学び」を挙げているが、こうした教育実現はその基盤形成として教師の指導環境の確かな整備が必要であって、そのための方策を具体的に示す必要があると考える。

さらに、世界は今や多様な形で「分断」が起きている。一方では「共生」「融和」「連帯」などが強く求められている。そうした世界的な状況の中で「日本型学校教育」の構築はどんな意味を持つのか。国際化に対応できる日本固有の新しい教育の在り方にも迫ってほしいと期待している。

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