【クオリティ・スクールを目指す(193)】今こそレジリエンスを

教育創造研究センター所長 髙階 玲治
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学校をどう再生するか

2021年度がスタートするが、学校は多くの難題を抱えることになった。

前年度はコロナ禍のために、特に教科などの指導が十分ではなく、一部積み残しが生じたであろう。また、多くの行事などを取りやめただけでなく新教育課程の完全実施に向けて年間指導全般について立て直しが必要である。さらにコロナ禍の影響は残っていて、日常の子供の活動は十分に回復したとは言えない。コミュニティ・スクールも厳しくなった。

さらにGIGAスクール構想の導入がスムーズとは言えない。肝心のICT環境整備が遅れている。中教審の『令和の日本型学校』答申の受容をどうするか、教員たちの反応は鈍い。

こうした状況から学校を再構築することが早急な課題である。それは『おらが学校の教育課程』の新たなスタートである。

20年度は、コロナ禍という異常事態を迎えて、子供の「学びを止めない」、また安心・安全な環境づくりのために教職員が一体になって取り組んだ。勤務時間の30分前から出勤し、遅くまで残る日々が続いた。

その一体感は貴重であるが、21年度も超過勤務は同じように続くのであろうか。直面する課題の多さを考えれば、過度の負担が続くと考えざるを得ない。

教職員のストレスフルな環境から守る手だてはないのだろうか。

最近、企業で注目されている「レジリエンス」という言葉がある。「再起力」、つまり「立ち直る力」である。主に個人的な行為として使われるが、日常で起こるさまざまなプレッシャーに対して、自分を守り、立て直す能力である。まさに今の学校や教職員に必要な言葉である。

学校の状況を考えた場合、個々のレジリエンスも重要だが、組織としてのレジリエンスが必要である。学校の多様な課題を効果・効率的に解決する手だては校長などの手腕によることが大きい。最も重要なのは、課題に向けた教職員全員の意思の統合である。そのためには可能な限り相互のコミュニケーションを効果的に行い、それぞれが決められた職務を遂行できる「協働の体制」をつくる必要がある。それが学校のレジリエンスにとって何よりも重要である。

ところでレジリエンスは、子供にとっても極めて重要である。いじめで落ち込んでいる子供、スマホのゲーム依存から抜け出せない子供、コロナ対応で活発に活動できないことでストレスをため込んでいる子供、など多様である。

そのような子供個々への適切な「支援」もまたレジリエンスの重要な役割である。本人が自力で立ち直れない場合が多いが、「支援」によってレジリエンスを身に付けたとき、新たな世界が開かれる可能性が大きいのである。

(終わり)


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