肢体不自由生徒の観点から見る~高校の特別支援教育(3)特別支援教育支援員に迷い

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由生徒が高校生活を送る上で、日常生活(食事、排せつ、教室移動の補助など)や学習面のサポートを誰が担うかは大きな課題になる。特別支援学級や通級による指導の対象者が増加しており、通常学級に在籍し発達障害のある生徒への教育的対応も一層求められている。これらを背景に、教員のマンパワーだけでは十分な支援が困難な場合も多くなっている。

特別支援教育支援員の活用は、教員の心理的、身体的な負担を軽減する。肢体不自由な生徒の障害に応じた適切な教育を施す上でも一層重要になっている。当事者側も学校側も肢体不自由者の高校進学を推進するために不可欠な支援だと考えている。

特別支援教育支援員の活用には、さまざまな課題もある。特に、どのような距離感で支援員と肢体不自由の生徒が関わるか、という難しさである。

高校に進学した肢体不自由の生徒とその保護者を筆者がインタビューしたところ、「支援員がいてくれるのはありがたいが、友達が近くにいる時は離れてほしい」「体育の授業で、これは危ないからちょっと遠くで見ていようとか、もう少し近くで授業に参加しようなどの判断を支援員に勝手に決められることがあった」との声が聞かれた。

特別支援教育支援員が常時配置されていることで、生徒同士のコミュニケーションの機会を逸するなど、支援員独自の支援に不満があることも指摘された。

特別支援教育支援員の側からは、毎日の学校生活を支える中で、肢体不自由の生徒の将来的な自立を考慮する必要性を強く認識している。支援員は、できる限りクラスメートの自然なサポートを引き出したいと考えており、必要な分だけ支援をすることを心掛けている。

しかし、特別支援教育支援員は、障害に関する専門性や特別な資格を有していない人が担当する場合がほとんどだ。何をどこまで支援すべきか判断がつかず、過度に支援し過ぎてしまうなど、支援そのものに自信のなさや迷いを抱きながら活動する状況にある。

今後は障害のある児童生徒との関わり経験が豊富で、支援方法の専門性を有した特別支援教育支援員の育成が求められる。

肢体不自由の生徒の対応に当たっては、学校関係者や当事者間で「どこまでの支援が必要なのか」の共通理解を図りたい。生徒の将来的な自立を見据え、本当に必要な要素の支援を提供するのが望まれる。