教師集団の学びとリフレクション(18)自分たちの感覚と遊び心

東京学芸大学教職大学院准教授 渡辺 貴裕

以前、公立小学校の先生が、校内での授業検討会の進め方の相談のため、研究室にいらっしゃったことがあります。その際に先生が話されたのが、「いやあ、研究授業が行われた教室から検討会会場までの行き来の廊下での話の方が、有意義な話ができているように思うんですよ。検討会だと堅苦しい雰囲気になっちゃって」というもの。

それに対して私が思わず提案してしまったのが、「それならいっそのこと、会場での検討会はやめて、廊下を何往復もしながら、そして相手もチェンジしながら、授業を振り返る話をするというスタイルにしてみてはどうでしょう?」というものでした。

もちろん、これは実際には難しいでしょう。「廊下を往復しながら話す」がルールになると「なんでわざわざ !?」と反発が出るでしょうし、何より歩きっぱなしだと足が疲れます。

にもかかわらず、冗談交じりではあれなぜこのような提案をしたか(そしてなぜそれをここで紹介しているか)というと、2つの理由があります。

1つは、このような改革に取り組もうとするときには、遊び心があった方がよいからです。真面目な顔で肩に力を入れて「○○のために○○しなければならない」と臨むよりも、「え、そんなのあり? どうなるの?」といったワクワク感があった方が、また、「うまくいくかは分からないけれど、やってみよう!」といった気安さがあった方が、楽しんで取り組めますし、チャレンジもしやすくなります。

もう1つは、改革に取り組むとき、外部から与えられた指針にただ従うということではなく、自分たちが持っている自生的な感覚を大事にしながら進めることが大切だからです。「行き来の廊下で話している話の方が有意義に思える」というのは、その学校の先生方が自分たちの経験から得ている大事な感覚です。そのため、それを出発点にして、「なんで行き来の廊下での方が有意義な話し合いになるのだろう」「本番の検討会と何が違うのだろう」「そこからヒントを得て本番の検討会を変えていけないだろうか」などと教員同士で話し合って考えていくのは、「押し付け」ではない、地に足が着いた取り組みにするための近道となります。

本連載も今回でいよいよ最終回となりました。私が述べてきたものは、あくまでも、自分たちのリフレクションや授業検討会の在り方を見直していくための手掛かりにすぎません。自分たちの感覚を大事にして、また、遊び心を持って、自分たちにとってよい形を見つけ出していってもらえたらと思います。18回にわたって、ありがとうございました。

(おわり)

【お詫び】制作上のミスにより10月10日から11日朝まで、第18回として前回と重複した原稿を掲載していました。