【高校情報科のアップデート(3)】情報科の方向性を決める

鹿野利春 京都精華大学教授

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 新学習指導要領は、2014年に文部科学大臣が中央教育審議会に「新しい学習指導要領を作ってください」と諮問をしたことから始まる。中教審は、それを受けて教育課程部会で議論し、小中学校は18年に、高等学校は19年に文科大臣が公示する。この間に幾つかのマイルストーンがあり、そこでさまざまなことが決まっていく。

 そのマイルストーンの一つとして2015年の8月に、「教育課程企画特別部会における論点整理」が出された。ここには、新しい学習指導要領等が目指す姿と各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性が述べられている。

 情報科に関して言えば、「共通必履修科目の設置」として、従来の「社会と情報」「情報の科学」の2科目からの選択必履修から、この2科目を統合した科目を全員が履修すること、「情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身に付ける」ことで情報の科学的な理解を重視することが記載されている。また、「当該共通必履修科目を前提とした発展的な内容を扱う選択科目についても、検討を行う」として、選択科目の設置にも触れている。さらに、「プログラミングや情報セキュリティをはじめとする情報モラルなどに関する学習活動の充実を発達段階に応じて図る」ことで、小学校のプログラミングにつながる記述もある。情報科を含めた全体の方向性は、ここで決まったと言える。

 この共通必履修科目が、現在の「情報Ⅰ」であり、選択科目が「情報Ⅱ」であるが、この時点では科目名も決まっていない。共通必履修科目については、高校生全員がこれを履修することになるので、国民的素養として必要なことを入れていかなければならない。そんな思いがあり、選択科目については、データサイエンスなどにも相当踏み込まないといけないという覚悟があった。中教審では、高大接続に関する議論が学習指導要領の諮問より前に行われていたので、大学につながる科目構成および内容にするにはどうすればよいかということにも配慮した。

 この方向性を決めるにあたって、多くの学会関係者に教えを乞うとともに、海外の情報教育についても調べた。また、さまざまな企業のセミナーにも参加し、情報産業の最新動向も吸収した。これらを総合して、最終決断は教科調査官が行わなければならない。この作業は、手が震えるような緊張感と同時に大きな高揚感があった。

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