【ヤングケアラーの子どもたち(3)】ヤングケアラーの実態調査から見えてきたこと

田中 悠美子 立教大学助教・日本ケアラー連盟理事

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 2021年3月に「厚労省と文科省を共同議長とするヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」が発足し、5月には取りまとめの報告をしています。その中で、ヤングケアラーの実態調査の結果が報告されました。今回は、その結果を紹介していきます。

 学校への調査は、中学校と全日制高校、定時制高校、通信制高校を対象に行われ、いずれの学校種でもヤングケアラーが「いる」という回答が最も高く、特に定時制高校では70.4%、通信制高校では60.0%に上りました。ケアの状況として、いずれの学校種でも「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が7割を超えており、次いで、「障がいや病気のある家族の代わりに、家事をしている」が多くなっています。

 定時制高校と通信制高校では、全体的にヤングケアラーの状況の生徒が多い傾向が見られ、通信制高校においては、「病気の家族を看病している」が52.4%、「障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている」が38.1%と高い割合となっています。

 さらに、ヤングケアラーと思われる子どもが「いる」と回答した学校のうち、その子どもを学校以外の外部機関につないだケースがあるかを確認したところ、高校では「外部の支援にはつないでいない(学校内で対応している)」と5割以上が回答しています。中学では、「要保護児童対策地域協議会に通告するほどではないが、学校以外の外部の支援につないだことがある」と4割程度が回答しています。

 このことから、定時制高校と通信制高校に通う子どもたちは、障がいや病気のある家族に対して何らかのケアの役割を長い期間担いながら、学業に励んでいることが推測されます。そのため、まずは教員がヤングケアラーの概念を理解し、生徒たちの言動に気付くための視点や対応方法、体制整備が大切になると思います。

中高生を対象としたヤングケアラー全国調査

 中高生への調査としては、世話をしている家族の有無を尋ねると、世話をしている家族が「いる」と答えた生徒の割合は、中学2年生で5.7%(約17人に1人)、全日制高校2年生で4.1%(約24人に1人)でした。つまり、クラスに1~2人はヤングケアラーがいると推定されます。また、世話をしている相手については、中学2年生、全日制高校2年生共に「きょうだい」の割合が最も高く、次いで「父母」「祖父母」でした(図参照)

 次回は、中高生のケアの内容や生活への影響についてご紹介していきます。

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