【コロナ禍の学校を支えるアンガーマネジメント(2)】アンガーマネジメントと学校現場との親和性

川上淳子 Edu Support Office代表

この連載の一覧

 アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。トレーニングですので、繰り返し練習し上達していくものです。学校の先生方は年間900~1000時間を超える授業を行い、子供たちは漢字をはじめ、なわとびや鉄棒など、あらゆる知識・技能を練習しながら体得しています。先生方が常に子供たちに働き掛けていることからも、心理トレーニングであるアンガーマネジメントと教育現場との親和性は高いと言えます。

 10月13日に公表された「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果からは、年々増える諸課題にコロナ禍が加わり、教育現場が感情、とりわけ怒りの感情の取り扱いに苦慮している状況が読み取れます。在職時にアンガーマネジメントを活用した経験から、私はアンガーマネジメントが現状の改善を図る手だてになると期待しています。

 アンガーマネジメントは怒りで後悔しないためのスキル。怒る必要があることは上手に怒れ、怒る必要がないことは怒らないようになることを目指します。怒ると言っても感情的になって怒ることではなく、まして怒りを抑えたり、怒ることを我慢したりすることでもありません。上手に怒るとは人や自分を傷つけず、モノも壊さずに相手に自分のリクエストを伝え、改善を求めることです。

 さて、子供たちの現状はいかがでしょうか。いきなりキレてたたく、蹴る、暴言を吐くといったことはありませんか。怒るべきときに怒れずに怒りを抱えてしまい、級友を避けて教室に入れなくなったり、不登校傾向に陥ったりしていませんか。モノを壊したり、壊さないまでもドアを蹴飛ばす、机をバンとたたくなどモノに当たったりしていませんか。こうした言動は上手に怒れずに攻撃性が人や自分、モノに向いている状態です。怒っている本人も辛いですし、周囲の子供たちも不安や危険を感じて辛い状況です。

 先生方が怒りの感情についての知識と対処を知り、子供たちへアンガーマネジメントを伝えることによって、相手への攻撃ではなく、適切な方法で自分の考えを表現できる子供を育てていくことができます。子供たちが感情をコントロールできれば、子供同士で良好なコミュニケーションを取ることができ、やがて教室は安心・安全な場となります。それは取りも直さず、学習指導要領の「子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力の育成」を具現化する歩みとなっていくことでしょう。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集